お役立ちコラム
副業導入時のポイント ~副業内容の確認方法~
2021年10月のコラム(https://www.cs-acctg.com/column/jinji_romu/53943.html)にて、会社側は副業の導入に当たり、下記の対応が必要になるとお伝えしました。
- 副業、兼業を認める方向にて就業規則などの見直しを行う必要があります。
- 労働者の労働時間管理が必要になります。労働者から事前に副業の内容を確認する必要があります。
- 給与計算前には労働時間を通算し、適切な給与計算を行う必要があります。
通算して管理するにあたっては自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業先での労働時間を確実に通算する必要があります。 - 長時間労働になり労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要です。
今回はこの中のうち②労働者の時間管理のための副業内容の確認方法について解説します。
【副業内容を確認するための届出】
使用者は当然には労働者の副業を知ることができないため、労働者からの申告等により、副業の有無や内容を確認することが考えられます。
使用者は副業が労働者の安全や健康に支障をもたらさないか、禁止または制限しているものに該当しないかなどの観点から、副業の内容として次の事項を確認することが望ましいとされています。
基本的な確認事項
- 副業・兼業先の事業内容
- 副業・兼業先で労働者が従事する業務内容
- 労働時間通算の対象となるか否かの確認
労働時間の通算の対象となる場合に確認する事項
- 副業・兼業先との労働契約の締結日、期間
- 副業・兼業先での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時間
- 副業・兼業先での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
- 副業・兼業先における実労働時間等の報告の手続き
- これらの事項について確認を行う頻度
厚生労働省は副業・兼業に関する届出様式例を公開していますので、活用して副業内容の確認を行い、禁止または制限することができる副業にあたらないか確認すると良いでしょう。
※副業を禁止または制限することができる場合については、2021年11月のコラム(https://www.cs-acctg.com/column/jinji_romu/post_2.html)をご参照下さい。
※厚生労働省が公開している副業・兼業に関する届出様式例
労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定されており、また「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含むとされています。
労働者が行う副業の形態によっては、企業は労働者の副業先の労働時間も通算して管理する必要が生じますので、副業の内容を事前に労使双方でしっかり確認することが重要です。
なお、労働時間通算の対象とならない場合においても、過労等により業務に支障を来さないように、対象者からの申告等により就業時間を把握することを通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。
厚生労働省は、労働者が自ら本業および副業の労働時間や健康状態を管理できるアプリ「マルチジョブ健康管理ツール」を公開しています。
こちらの活用を労働者に勧めるのも有効な施策の一つだと考えられます。
※「マルチジョブ健康管理ツール」の操作画面抜粋
【副業に関する合意書】
副業の内容を確認した結果、その内容に問題がない場合は、副業の開始前に「副業に関する合意書様式例」のような内容について労使で合意をしておくことにより、労使双方がより安心して副業を行えるようになると考えられます。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000692485.docx
■厚生労働省 「副業・兼業の促進に関するガイドラインわかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000695150.pdf
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(執筆者:中西)
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