お役立ちコラム

治療と仕事の両立支援を考えましょう

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【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】

「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら生き生きと働き続けられる社会を目指す取り組みです。

それまで健康だった人が病気にかかり治療が必要になると、以前の通りには働けなくなるケースが出てきます。

その場合、治療に専念することになるか、あるいは、治療しながら働くことができるのかはケースバイケースですが、治療しながら働くことを希望する人にとっては、治療と仕事を両立させることができるのかは大きな問題です。

一方で、働く人の職場、とりわけ、人事労務担当者や産業保健スタッフ、そして、共に働く上司や同僚にとっても、治療と仕事の両立支援は重要な課題です。
治療をしながら働きたいという思いがあり、主治医によってそれが可能だと判断された人が働けるような環境の整備が求められています。

このような取組は、労働者の健康確保という意義とともに、継続的な人材の確保、労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上、健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化、組織としての社会的責任の実現、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現といった意義もあると考えられます。


【両立支援を行うにあたっての留意事項 8点】

(1)安全と健康の確保

就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の配慮を行うことが就業の前提となります。
従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはなりません。

(2)労働者本人による取組

疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき、治療を受けること、服薬すること、適切な生活習慣を守ること等、適切に取り組むことが重要です。

(3)労働者本人の申出

労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となります。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要です。

(4)治療と仕事の両立支援の特徴を踏まえた対応

育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となります。

(5)個別事例の特性に応じた配慮

症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要です。

(6)対象者、対応方法の明確化

事業場の状況に応じて、事業場内ルールを労使の理解を得て制定するなど、治療と仕事の両立支援の対象者、対応方法等を明確にしておくことが必要となります。

(7)個人情報の保護

両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要となりますが、これらの情報は機微な個人情報であることから、事業者が本人の同意なく取得してはならないなど、適切な情報管理体制の整備が必要です。

(8)両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性

治療と仕事の両立支援を行うに当たっては、労働者本人以外にも、事業場・医療機関等の関係者が必要に応じて連携することで、労働者本人の症状や業務内容に応じた、より適切な両立支援の実施が可能となります。


【両立支援の進め方】

① 両立支援を必要とする労働者が、支援に必要な情報を収集して事業者に提出します。

② 事業者が、産業医等に対して収集した情報を提供し、就業継続の可否、就業上の措置及び治療に対する配慮に関する産業医等の意見を聴取します。

③ 事業者が、主治医及び産業医等の意見を勘案し、就業継続の可否を判断します。

④ 事業者が労働者の就業継続が可能と判断した場合、就業上の措置及び治療に対する配慮の内容・実施時期等を事業者が検討・決定し、実施します。

⑤ 事業者が労働者の長期の休業が必要と判断した場合、休業開始前の対応・休業中のフォローアップを事業者が行うとともに、主治医や産業医等の意見、本人の意向、復帰予定の部署の意見等を総合的に勘案し、職場復帰の可否を事業者が判断した上で、職場復帰後の就業上の措置及び治療に対する配慮の内容・実施事項等を事業者が検討・決定し、実施します。

【参考:厚生労働省-事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html



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(執筆者:中西)

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