お役立ちコラム
障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)
目次
- 障害者の法定雇用率の段階的引き上げ
- 常用雇用労働者、障害者のカウント方法
- 除外率の引き下げ
- 障害者雇用のための事業主支援
1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ
民間企業の法定雇用率は、令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%になります。
つまり、障害者雇用義務の対象となる企業の範囲が拡大します。
これまで雇用義務のなかった企業においても、来年以降、障害者雇用義務が発生する可能性があります。
雇用義務のある企業は毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告することとなります。
2.常用雇用労働者、障害者のカウント方法
ここで大切なのは常用雇用労働者、障害者の人数をどのようにカウントするか理解しておくことです。
常用雇用労働者カウント方法
・常用雇用労働者とは、1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)をいいます。
雇用期間の定めがあっても、1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者は含めます。
次のような雇用契約は常用雇用労働者となります。
①雇用契約書等で契約更新の明示もしくは更新の可能性ありの明示がある場合(ただし更新回数の上限が明示され1年を超えて雇用されないことが明らかな場合を除く)
②雇用契約書等で契約更新されない明示があっても、類似する形態で雇用されている他の労働者が1年を超えて引き続き雇用されている等、実態として更新の可能性がある場合。
・昼間学生、2つの事業主に雇用されている労働者であっても、週所定労働時間が20時間以上であれば常用雇用労働者となります。
・週所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者は1人=0.5人とカウントします。
・週所定労働時間が20時間未満の者についてはカウントしません。
障害者カウント方法
障害の等級によりカウント方法が異なります。
※週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者については次の①および②を満たす場合1人=1人とカウントする特例があります。
①新規雇い入れから3年以内または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内
②令和5年3月31日までに雇い入れられ精神障害保険福祉手帳を取得した方
・週所定労働時間10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者については、1人=0.5人としてカウントできるようになります。(令和6年4月変更)
3.除外率の引き下げ
障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種については雇用義務の軽減を認める除外率制度が設けられていますが、こちらも令和7年4月から10%ずつ引き下げられます。
現行10%以下の業種については除外率制度の対象外となります。
これまで除外率が適用されていた業種においても、雇用義務が発生する可能性があります。
4.障害者雇用のための事業主支援
障害者雇用促進のため、以下のような制度導入が予定されています。
雇い入れや雇用管理に関する相談援助の助成金の創設
既存の障害者雇用関係の助成金の拡充
5.Q&A(厚生労働省リーフレットより)
Q: 障害者雇用納付金の取り扱いはどうなるのでしょうか?
A: ①令和6年度分の障害者雇用納付金について
新しい法定雇用率(2.5%)で算定します。
②令和8年度分の障害者雇用納付金について
令和8年6月以前については2.5%
令和8年7月以降については2.7% で算定します。
Q: 障害者を雇用する場合に活用できる制度はありますか?
A: 様々な支援制度があります。まずはハローワークにご相談ください。
▶「障害者雇用のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/000767582.pdf
今回の法改正は段階的とはいえ、大きな引上げとなります。
法定雇用率を満たさない場合には、納付金の徴収やハローワークによる行政指導、さらには企業名の公表などといった大きなペナルティがあります。
法定雇用率の引き上げはまだ先ですが、該当する企業様におかれましては、今から障害者雇用制度の理解を深め、社内体制を整える取り組みが必要となることでしょう。
参考資料:
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
厚生労働省「障害者雇用対策~事業主の方へ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html
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(執筆者:平野)
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