お役立ちコラム

固定残業代を構成する手当について

固定残業代を構成する手当を確認する前に割増賃金の基礎となる賃金について確認したいと思います。

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割増賃金の基礎となる賃金


割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金」となります。

例えば月給制の場合、各種手当も含めた月給を、1か月の所定労働時間で割って、1時間当たりの賃金額を算出します。

このとき、以下の①~⑦は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されることなどにより、基礎となる賃金から除外することができます。

①家族手当
②通勤手当
別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

①~⑦は例示ではなく限定的に列挙されているものとなりますので、これらに該当しない賃金は全て算入しなければなりません。

また①~⑤の手当については、このような名称の手当であれば、すべて基礎となる賃金から除外できるというわけではありません。

家族手当、通勤手当、住宅手当について、除外できる手当の具体的範囲は、下表のとおりとなります。

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固定残業代を構成する手当


固定残業代を構成する手当について確認していきます。

各種手当の中には上記で取り上げました、労働と直接的な関係が薄い手当と職務に対応して支払われる手当など様々な手当があります。

これらの手当について給与規程等に規定する際には、手当の支給対象者や支給要件について明確に規定する必要があります。

また、割増賃金相当額をあらかじめ固定残業代として支給する場合は、給与規程等において、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区分し、固定残業代が時間外労働等に対する対価として支払われるものであることを明記する必要があります。

なお、割増賃金の算定の基礎となるのは通常の労働時間の賃金となりますので、固定残業手当は割増賃金の算定の対象とはなりません。

この他、上記で取り上げました①~⑦(除外要件に該当時)の賃金につきましても割増賃金の算定の基礎から除外されますので、自社の給与規程等を確認し固定残業代の算定方法および固定残業代を超えた残業代の計算方法に誤りがないか確認してみましょう。

時間外割増賃金をめぐるトラブルの裁判例

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【参考】

割増賃金の計算の基礎なる賃金とは?
https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/library/tottori-roudoukyoku/pdf/26kajyu_4.pdf

固定残業代を賃金に含める場合の適切な表示
ttps://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001460166.pdf


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(執筆者:小澤)

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