お役立ちコラム

時間外労働についての再認識

 働き方改革が叫ばれて久しい昨今ですが、直近で公表されている令和4年度「過労死等の労災補償状況」を見てみると、令和3年度に比べ、労災請求件数は387件増加の3,486件、うち支給決定件数は103件増加の904件(うち死亡・自殺(未遂を含む)件数121件)となっており、まだまだ時間外労働を初めとする過重な仕事が原因での疾患、障害が起きている現状があります。

そこで、改めて「時間外労働」を焦点に現行のルールを見ていきたいと思います。

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◆労働基準法における労働時間の定めとは?


 労働基準法では、労働時間は原則18時間、140時間までと定められています。

これを法定労働時間と言いますが、この時間を超えて従業員を働かせることは原則できません。

◆法定労働時間を超えて従業員に働いてもらうためには?


 労使の合意に基づく所定の手続き(36協定の締結、所轄労基署への届け出)を行うことで、従業員に法定労働時間を超えてお仕事をしてもらうことができます。

また、法定休日として、毎週少なくとも1日の休日を従業員に取得させることが必要ですが、この36協定の締結、届け出を行うことで、法定休日に働いてもらうことができます。

◆36協定の手続きを行えば、どれだけ働かせてもよいのか?


 36協定を届け出たからといって、上限なく働かせることはできません。

時間外労働の上限は原則として、月45時間・年360時間と定められており、臨時的な特別な事情がなければこれを超えることはできません。

◆臨時的な特別な事情は具体的にどういうことか?


 通常予見することができない業務量の大幅な増加等によって、臨時的に上記の限度時間を超えて働いてもらわざるを得ない場合のケースをいいます。

これを36協定の中に「特別条項」として定めておくことができ、この条項を定めておくことで限度時間(月45時間・年360時間)を超えて働かせることが可能となります。

◆特別条項を設定しておけば、今度こそどれだけ働かせてもよいか?


 特別条項を定めたとしても、やはり上限なく働かせることはできず、以下のルールを厳守する必要があります。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」が全て1月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6ヵ月が限度

 なお、上記に違反した場合には、罰則(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがありますのでご注意頂ければと思います。

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(参考資料)

厚生労働省 働き方改革 特設サイト 支援のご案内 時間外労働の上限規制

https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html


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※最終更新日時点での法令に基づく内容となっております。

(執筆者:坂本)

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