お役立ちコラム

CSA社労士雑記 ~正しい賃金の話をしよう(3)~


 

前回に引き続き、賃金のお話をもう少し。

 

まず、給与の大まかな計算方法ですが、

 

給与支給額 - 控除額 = 銀行振込額

 

となります。

 

皆さんの受け取る給与明細書も、

上記のような表記方法となっているはず。

 

一見、単純な計算にみえるので、

“間違いはあり得ない”“誰でもできそうだ”

 

といった感想を持ってしまいそうですが、

しかし、計算は間違っている可能性がある。

 

というのも、

その計算の工程においては、

細かな法律の知識が必要であるからですね。

 

計算担当者の知識が浅ければ、

誤って計算をしてしまう可能性があるわけです。

 

+++++

 

例えば、給与計算における深夜は何時から何時であるのか、

知っていますか?

 

ここが間違っていると、

正しく給与計算はできません。

 

法定休日と所定休日の違いはどうでしょう。

 

その違いをきちんと理解していないと、割増率の判断がつきません。

 

その他、代休と振休の違いや、社会保険料の算出方法、所得税の考え方など、

給与計算担当者は、知らなければならない決まりごとが盛りだくさんです。

 

挙げればキリがありませんが、

 

割増賃金の計算が正しいかどうか、

 

少なくともここだけは、

私たち一般労働者も確認する力を持っておくべきであると思うのです。

 

確認する手段は、給与明細書を利用した検算ですから、

どのように計算をしていけばよいのか、ご説明をしていきましょう。

 

 

《割増率について》

 

もともと、法律では法定労働時間(1日8時間・週40時間)

を超える労働を禁止しておりますが、

 

どうしても超えてしまった場合においては、

 

そのペナルティとして、通常支払うべき賃金に加えて、

割増賃金を支払わなければなりません。

労働基準法で割増率は1.25と定められております。

 

例えば、9:00~18:00までを所定労働時間としている会社では、

 

18時を超えたところから、1時間あたりの時間単価×1.25で

計算をしなければならないことになります。

※休憩時間を1時間と仮定しています。

 

~~~~~~~~~

この割増率は、法律で最低基準が決まっているだけですから、

最低基準以上の割増率(例えば、1.3等)を設定することも可能です。

~~~~~~~~~

 

では、その日、午前0時まで働いたとしたらどうなるか。

 

法律の定める深夜時間は、22:00~5:00です。

深夜労働の割増率は0.25

 

ですから、

18:00~22:00までは、時間単価×1.25

22:00~24:00までは、時間単価×(1.25+0.25)

 

まとめると、

8時間超の割増率    → 1.25

22:00~5:00の割増率 → 0.25

 

8時間超+深夜の割増率  →1.5

 

ということになります。

 

 

《法定休日と所定休日について

 

週休2日の会社である場合は、多くは土日がお休みとなることが多いと思いますが、法律で定める法定休日はどちらであるのか。

 

“カレンダーが赤いので日曜日”

と考えがちですが、そのような定めはありません。

 

 

労働基準法第35条では、

“使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日を与えなければならない”

 

と定めているだけで、特定の日を指定していないのです。

つまり、法定休日をどの日に位置づけるかは会社の自由ということになります。

 

土日がお休みの会社では、

土曜日を法定休日としても日曜日を法定休日としてもよい、

ということになりますから、まずは就業規則等で確認をしてみるとよいでしょう。

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1月1日や国民の祝日を休日としないことは、違反ではないということですね。

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さて、土日をお休みとしている会社で、仮に日曜日を法定休日としている場合では、

休日分の割増賃金が発生するのは、日曜日ということになります。

 

割増率は1.35

 

では、法定休日で、8時間を超えて働いたらどうなるのか。

 

1.35+1.25=2.6

 

これは間違いです。

 

法定休日は、法定時間外労働の概念は適用外ですから、

つまり、法定休日中の間であれば、何時間働いても1.35ということになります。

 

ただし、

深夜は別枠です。

法定休日に22時以降まで働けば、

1.35+0.25=1.6

 

という割増率となります。

~~~~~~~~~

土曜日はどうなのかという疑問が出てきそうですが、

法律で定める休日以外であるため、1.35とする必要はありません。

ただし、土曜日働いたことで、週40時間を超える労働となった場合は、1.25の割り増し計算が必要となります。

~~~~~~~~~

 

 

《1時間当たりの単価の出し方について》

 

時給者であれば簡単ですが、

月給者である場合は、1時間当たりの単価算出をしなければなりません。

 

まず、確認をするべきは、会社が定めるひと月あたりの所定労働時間数です。

 

就業規則に記載されていることが一般的ですが、就業規則に記載が無ければ、会社の人事担当をされている方にお聞きすることでも良いと思います。

 

そのうえで、自身の給与明細書を確認します。

 

基本給や手当など、いろいろと記載があると思いますが、

除外しなければならない賃金は原則として

(1) 固定残業代があれば、その分の賃金

(2) 通勤交通費

 

の2つです。

 

上記2つを除外した賃金を足しあげ、

その金額の合計を会社の所定労働時間数で除した金額が、

1時間当たりの単価ということになります。

 

~~~~~~~~~

所定労働時間:160時間

基本給   :15万円

○○手当  :5万円

固定残業手当:5万円

通勤費   :1万円

 

であれば、

 

150,000円(基本給)+50,000円(○○手当)=200,000円

200,000円÷160時間=1,250円

 

となります。

 

※ここで一応、最低賃金も確認しておきましょう。

 平成30年11月現在、東京では983円です。

~~~~~~~~~

上記内容を確認できれば、後は算数です。

給与明細に記載があるはずの、残業時間数、深夜時間数、休日労働時間数をもとに

計算ができるでしょう。

 

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なお、ここでお話をいたしました内容は原則であり基本的な事項です。

 

フレックスタイム制や裁量労働制を適用していたり、月60時間を超える労働があるような場合では、別の計算ロジックを用いることがあります。

 

複雑と思えるような場合では、

社会保険労務士等の専門家を利用してみることもよいと思います。

 

関連ページ:

給与計算アウトソーシング|人事・労務・社会保険サービス

人事制度コンサルティング|人事・労務・社会保険サービス

CSA社労士雑記 ~正しい賃金の話をしよう(1)~

CSA社労士雑記 ~正しい賃金の話をしよう(2)~

 

執筆者:立山

(c)123RF

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