お役立ちコラム
副業導入時のポイント ~簡便な労働時間管理の方法~
前回のコラムにて労働時間通算についての原則的な方法をお伝えいたしましたが、自らの事業場及び他の使用者の事業場の双方で所定外労働がある場合等においては、労働時間の申告等や通算管理において、労使双方に手続上の負担が伴うことが考えられます。
そのため、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労基法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法(以下「管理モデル」という。)をお伝えいたします。
1.労働時間の上限設定
単月100時間未満、複数月平均80時間以内となるように、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定してください。
2.副業・兼業時の「原則的な労働時間通算」と「管理モデル」の違い
上図のとおり、管理モデルを導入しているかいないかによって、法定外労働割増賃金に違いがでてきますので注意してください。
これにより、使用者A及び使用者Bは、副業・兼業の開始後においては、それぞれあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場における実労働時間の把握を要することなく労基法を遵守することが可能となります。
3.3者間(各使用者と労働者)管理モデル導入の共有
副業・兼業の開始後のトラブル防止のため、管理モデルの実施にあたっては、各使用者と労働者の3者間で管理モデル導入(通知)様式例等を参考に、必要な情報の共有を行うようにしてください。
管理モデル導入(通知)様式例の余白に、以下(例)のような記載欄を設けることで、副業・兼業先の使用者が管理モデルの導入に応じたことを明らかにすることができます。
【参考】
副業・兼業における労働時間の通算について(簡便な労働時間管理の方法「管理モデル」)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001086159.pdf
副業・兼業に関する合意書様式例
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000692485.docx
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(執筆者:坂田)
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