お役立ちコラム

副業導入時のポイント ~労働時間の通算~

2021年10月のコラム(https://www.cs-acctg.com/column/jinji_romu/53943.html)にて、会社側は副業の導入に当たり、下記の対応が必要になるとお伝えしました。

1. 副業、兼業を認める方向にて就業規則などの見直しを行う必要があります。

2. 労働者の労働時間管理が必要になります。労働者から事前に副業の内容を確認する必要があります。

3. 給与計算前には労働時間を通算し、適切な給与計算を行う必要があります。

通算して管理するにあたっては自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業先での労働時間を確実に通算する必要があります。

4. 長時間労働になり労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要です。

この中のうち③の労働時間の通算に関して、数回にわたって記載します。

今回は、(ア)労働時間が通算される場合、(イ) 通算して適用される規定、(ウ)通算されない規定について確認いたします。

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(ア) 労働時間が通算される場合


労働者が、事業主を異にする複数の事業場において、「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、労基法第38条第1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算されますが、次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されません。副業・兼業の形態が非雇用や管理監督者などは注意が必要です。

・ 労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)

・ 労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度)

なお、これらの場合においても、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、その者からの申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。

(イ) 通算して適用される規定


法定労働時間(労基法第32条)について、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通算されます。

時間外労働(労基法第36条)のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件(同条第6項第2号及び第3号)については、労働者個人の実労働時間に着目し、当該個人を使用する使用者を規制するものであり、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間が通算されます。(自社と副業・兼業先での法定外労働の時間と休日労働の時間を合わせて、単月100時間未満、複数月平均80時間以内とする必要があります。)

時間外労働の上限規制(労基法第36条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。))が適用除外(同条第11項)される業務・事業についても、法定労働時間(労基法第32条)についてはその適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間が通算されます。

なお、労働時間を通算して法定労働時間を超える場合には、長時間の時間外労働とならないようにすることが望ましいです。

(ウ) 通算されない規定


時間外労働(労基法第36条)のうち、労基法第36条第1項の協定(以下「36協定」という。)により延長できる時間の限度時間(同条第4項)、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(同条第5項)については、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めることとなります。

また、36協定において定める延長時間が事業場ごとの時間で定められていることから、それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されません。

休憩(労基法第34条)、休日(労基法第35条)、年次有給休暇(労基法第39条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間及び他の使用者の事業場における労働時間は通算されません。

【参考】

副業・兼業の促進に関するガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf


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(執筆者:坂田)

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