お役立ちコラム

年末調整 ~前編~

 11月に入り、年末調整の時期がやってきました。2017年の税制改正を受け、2018年からは配偶者控除等申告書が新たに配布されます。

 本コラムでは年末調整について3回(前編・中編・後編)にわけて年末調整についてお伝えしていきます。前編の今回のテーマは年末調整の概要についてです。

 

 

1.年末調整とは

 

 年末調整とは、給与の支払者がその年最後の給与を支払うときに、給与所得者一人ひとりについて、本年1年間において給与を支払うつど源泉徴収をしてきた税額の合計額と本年1年間の給与の総額について納めなければならない税額(以下「年調年税額」といいます)とを比べて、その過不足額を精算することを言います。この精算は、通常年末に行いますので、これを「年末調整」といいます。

※申告後に扶養親族の変動や生保の控除証明書等の未提出により控除の適用漏れが発生した場合は、翌年1月31日までであれば再年末調整処理が可能です。

※平成25年1月1日以降に支払うべき給与等から徴収する税額は、所得税額と復興特別所得税額の合計額となっており、年末調整をする際には、所得税と復興特別所得税の年末調整を併せて行います

 

 

2.年末調整の実施時期

 

 年末調整は原則として「本年最後の給与を支払う際」に行います。ただし、12月中に賞与を先に支給し、次いで普通給与のみを支給する場合には、賞与の支給の際に後日支給する普通給与の見込額を本年中の給与総額に含めて年末調整を行うこともできます。この場合には、後日支給される普通給与の額がその見込額と異なるときは年末調整のやり直しをしなければなりません。

 上記で、"原則として「本年最後の給与を支払う際」に支給します"、と記載致しましたが年末以外に年末調整を行う人もいます。具体例は下記の通りです。

特別な時期に年末調整を行う人 年末調整を行う時期
(1) 本年の中途で死亡により退職した人 退職のとき
(2) 本年の中途で外国に勤務することとなったことなどの理由により出国し、非居住者(※)となった人 出国のとき
(3) 本年の中途で著しい心身の障害のため退職した人のうち、その退職の時期からみて本年中に再就職することが明らかに不可能と認められ、かつ退職後本年中に給与の支払いを受けることとなっていない人 退職のとき
(4) いわゆるパートタイマーとして働いていた人などが本年の中途に退職した場合で、その年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払いをうけることになっている人を除きます) 退職のとき
(5) 12月中に支給期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した人 退職のとき

※非居住者とは居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続き1年以上居所を有する個人)以外の個人をいいます。

 

 

3.年末調整の対象となる人

 

 扶養控除等異動申告書を提出している人で、給与の収入金額が2000万以下の人が対象となります。年末調整の対象から除かれる人の具体例は以下の通りです。

(1)本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人

(2)年末調整を行う日の前日までに扶養控除等異動申告書を提出していない人

(3)従たる給与についての扶養控除等異動申告書を提出している人

(4)丙欄適用者(本年中途で丙欄適用から甲欄適用になった人を除きます)

(5)被災給与所得者で、税額の徴収猶予や還付を受けた人

(6)中途退職者

(7)非居住者

 

 

4.年税額の計算方法

 

 年税額は以下の流れで求めます。

(1)集計した給与等の総額から非課税総額を引いて、「課税給与等総額」を求めます。

   (給与等の総額)-(非課税額)=(課税給与等総額)

(2)所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)に「課税給与等総額」を当てはめて、「給与所得控除後の給与等の金額」を求めます。

(3)扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除等の各控除額を求めます。

(4)「給与所得控除後の給与等の金額」から、「所得控除額」を差し引いて、「課税給与所得金額」を求めます。

   ※課税給与所得金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

(5)「課税給与所得金額」から、「算出所得税額」を求めます。

(6)住宅借入金等特別控除を受けられる場合、⑥の算出所得税額から差し引き年調所得税額を求めます。

  ※控除額は算出年税額の範囲までで、控除しきれない金額は切り捨てになります。
   なお、控除しきれなかった額については、住民税から控除されます。

(7)年調所得税額に102.1%を乗じて、復興特別所得税を含む「年調年税額」を求めます。

  ※年調年税額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

(8)給与、賞与で控除された源泉徴収税額の合計と「年調年税額」の過不足を求めます。

 

 

5.給与所得控除とは

 

 給与所得控除とは、会社員の所得税や住民税を計算するときに、給与収入額に応じて差し引くことができる控除分をいいます。位置づけとしては必要経費に近いものです。自営業者の場合は、売上金額から仕入原価や販売経費などを差し引くことができますが、会社員の場合は、この必要経費の代わりとして給与所得控除が認められています。

 ※2020年から給与所得控除の金額が改正予定となっています。

 なお、会社員が次のような支出(特定支出)があり、その金額が給与所得控除の金額を超えた場合は、確定申告することによって、超えた分も控除できます。(支払いを証明する領収書や、会社の証明書が必要)

  1.転勤による引越し費用・・・引越し代金、宿泊費など

  2.研修費・・・職務上必要な技能、知識を習得するための受講費など

  3.通勤費・・・通勤に必要な定期代、バス代など

  4.資格取得費・・・公認会計士、弁護士、税理士以外で、

    職務上必要な資格をとるための費用

  5.帰宅旅費・・・単身赴任の場合に、自宅に週1回程度、帰宅するときの費用

 

 今回は年末調整の概要について説明してきました。次回以降は申告書の具体的な書き方について説明していきます。

 

参照:国税庁ホームページ

 

関連サービス:

給与計算アウトソーシング,

年末調整~中編~(お役立ちコラム)

年末調整~後編~(お役立ちコラム

 

執筆者:中谷

(c)123RF

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