お役立ちコラム

産業医制度に係る省令改正

平成29年6月1日に産業医制度の省令改正がありましたが、どのような改正でしょうか。

①産業医による定期巡視の頻度の見直し(労働安全衛生規則第15条関係)

現行:労働者の健康障害防止のために必要な措置を講ずるため、少なくとも毎月1回実施

新:産業医に、事業者から毎月1回以上の所定の情報(衛生管理者の巡視結果など)が提供されている場合で、事業者の同意がある場合には、少なくとも2月に1回の実施とすることが可能。

②健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供(労働安全衛生規則第51条の2ほか8省令8条文関係)

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならない。

※着実な実施を図るために新たに義務化となります

③長時間労働者に関する情報の産業医への提供(労働安全衛生規則第52条の2関係)

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合にその超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を速やかに産業医に提供しなければならないものとする。

※申出に基づく医師による面接指導とは別に、新たに義務化となります

 

今回の産業医制度の改正においては、定期巡視の要件については条件付き緩和が認められた一方で、過重労働対策や健康面で支援が必要な従業員の健康確保については、企業の情報提供義務が改めて明記されました。すでに長時間労働者リストや健康診断後の事後措置に必要な情報等を産業医と定期的に共有し対策を講じている場合には、今回の法令改正による影響はそれほど大きくありませんが、今後の産業医制度に関する追加改正の議論などの動向には引き続き注視していくことが必要です。

 

 

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