お役立ちコラム

仮眠時間は労働時間にあたりますか?

当社はビルの管理業務を行っています。夜間の勤務のあるため、仮眠時間を与えていますが、これは労働時間ではなく休憩時間とみなしてよいでしょうか?

仮眠時間とは、仮眠室で睡眠等をとることは認められているが、緊急事態等の一定の事態が発生した場合には、直ちに対応して作業等を行うことが義務付けられている時間です。仮眠時間中は実作業に従事していないことから、仮眠時間を休憩時間とする取り扱いをしている会社もあると思います。

しかしながら仮眠時間中は、仮眠室等の一定の場所で待機することを義務付けられ、何らかの事態が発生した場合、即座に対応に当たることが予定されており、完全に労働から解放されることを保障された自由な時間とはいえません。よって仮眠時間は、休憩時間ではなく待機時間とみなされ、労働時間に該当すると判断される可能性が高くなります。

代表的な判例としては、「大星ビル管理事件」があります。

ビル管理会社の従業員に管理・警備業務の中で与えられる夜間の仮眠時間や断続的な作業時間が争点となりましたが、仮眠場所が制約されることや突発事態への対応を義務づけられていること等の理由から、ビル管理人の仮眠時間は「実作業への従事が皆無に等しいなど、労働からの解放が保障されていない以上、労基法上の労働時間に当たる」と判断した例です。

行政解釈でも「休憩時間」について、「単に作業に従事しない手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと」としています。

関連コラム

令和7年度地域別最低賃金額改定について
先日開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。【答申のポイント】(ランクごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。注…
障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?
従業員40人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。毎年報告時期になりますと、事業所に報告用紙が送付されてきますので、必要事項を…
職場における熱中症対策が強化されます!
今回は職場における熱中症対策として改正労働安全衛生規則が施行されますのでお知らせいたします。次の表からも2年連続で死亡者数が30人レベルであることなどから、死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策の実施が必要となります。具体的には…
常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となりました!
令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。法改正の背景日本における男女間…
育児介護休業法の改正に伴う就業規則等の見直し
令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、令和7 ( 2 0 2 5 ) 年4月1日から段階的に施行されます。男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。