お役立ちコラム

失踪した社員を懲戒解雇できますか?

失踪した従業員を懲戒解雇にすることができますか。

失踪し行方不明の労働者は、原則、懲戒解雇できません。下記の3項目が必須となります。

1.懲戒解雇の意思表示を伝えること。

懲戒解雇とは、懲戒処分として当該労働者との労働契約を終了させることです。この懲戒処分の意思表示は、「相手方に到達したとき」に効力を生じると考えられています。

ただし、この意思表示がどのような場合に「相手方に到達した」といえるかという点では、明確になっていません。意思表示の通知が、相手方の勢力範囲(自宅、配偶者など)に入り、相手方が了知可能な状態になった時点で到達を認める裁判例もありますが、失踪し行方不明となった労働者にまでそのような考え方が適用されるとはいえません。

2.次の段階としては、公示送達

行方不明者など相手方の所在を知ることができないときは、「公示送達の方法による意思表示」(民法97条1項)が法律上用意されています。この公示送達の方法による意思表示を行うには、簡易裁判所に申し立てることが必要です。そして意思表示の内容が裁判所の掲示場に掲示され、官報および新聞に少なくとも1回掲載されるという所定の手続きを経ることで、最後の掲載から2週間を経過したときに意思表示が到達したとみなすことが可能です。

3.解雇予告手当の支払を行うこと。

所轄労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受け、即時解雇とする場合には解雇予告手当の支払いは不要です。また行政解釈では、「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」は即時解雇できるとされています。

しかし相手方が行方不明の場合、「出勤の督促」が不可能なので即時解雇扱いはできません。よって解雇予告手当を支払う必要があります。

なお、解雇予告手当は賃金に準ずるものとして、失踪者本人に直接支払わなければなりません。配偶者等の親族に支払うことはできないのです。このような場合、郵送等の手段で労働者の生活の本拠地に解雇予告手当を支払う旨を通知しておく方法も考えられます。

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