お役立ちコラム

非常用食料品や防災用品の購入時の取扱い

最近、地震や集中豪雨などの災害被害が各地で発生していることから、当社でも災害時対策として、非常用食料品と防災用品を備蓄することにしました。

購入した非常用食料品は、酸素を除去して缶詰にしたフリーズドライ食品で、賞味期限は20年とされていますが、実質的には50年以上の保存に耐え得るといわれています。缶詰の単価は1,000円~6,000円です。

防災用品としては、ヘルメットと懐中電灯を購入し、単価はすべて1万円以内です。

これらの購入費用について、税務上の取扱いを教えてください。

非常用食料品や防災用品は、購入して会社に備蓄した時点で全額損金算入することができます。

通常、消耗品を購入した場合、期末の未使用分は貯蔵品として資産計上します。

長期保存が可能である非常用食料品を購入時に全額費用計上してよいものか迷うところですが、非常用食料品については、備蓄することをもって事業の用に供したものとして、備蓄した時点で損金算入することができます。

その理由として、国税庁ホームページの質疑応答事例に下記の事項が挙げられています。

  • 食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。
  • その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産又は繰延資産に含まれないこと。
  • 仮に、当該食品が「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。
  • 類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。

ヘルメットや懐中電灯は、器具備品等の減価償却資産に該当するものですが、ご購入されたものはすべて10万円未満の少額減価償却資産に該当しますので、事業の用に供した時点で全額損金算入することができます。

防災用品についても、非常用食料品と同様に、備蓄することが事業の用に供したものと考えられますので、備蓄した時点で損金算入することができます。

<参考文献等>

国税庁HP 質疑応答事例 非常用食料品の取扱い

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/05.htm

執筆者:山村

 

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