お役立ちコラム
1日の勤務時間が定まっていないアルバイトの有休は、どのように給与を算出すれば良いですか?
-
アルバイトから有給休暇の申請がありましたが、当該の者は1日あたりの所定労働時間が決まっておらず、「週●●時間以内」という雇用契約で毎週シフトを組んで勤務してもらっている状況です。このような場合、有給休暇の給与はどのように算出すれば良いのでしょうか?
-
年休に対し支払うべき賃金について 、労基法 39 条 7項は次の 3種類の支払い方法を定めています。
① 労基法 12 条に定める平均賃金(過去3ヶ月の賃金総額÷その期間の総歴日数)
② 所定労働時間した場合に支払われる通常の賃金
③ 健康保険法 99 条に定める標準報酬日額(標準報酬月額÷30日)
原則として、①もしくは②のどちからを選択して就業規則等で定めなければならず、労使協定を締結することで③を選択することができます。
①もしくは③の場合は、所定労働時間の違いとは関係なく各日一律の賃金となるため、1日ごとの所定労働時間が決まっていない場合は、このいずれかを適用することになります。
②はもっとも一般的な方法です。労働時間がまちまちなアルバイトであっても、例えば月曜日は5時間、火曜日は3時間、というように日ごとの所定労働時間があらかじめ決まっていれば、この方法を適用する事が可能です。
この場合、年次有給休暇を取得する日の所定労働時間により、支払うべき金額が変わります。本人からすれば、所定労働時間が長い日に年次有給休暇を取得した方が得ということになります。
ただし、会社が最も安価な計算方法を選択するために、その都度方法を変えることは認められていません。一旦、いずれかの支払い方法を決めた場合には、その方法によって支払わなければなりません。
いずれにせよ、年次有給休暇取得時の賃金については、本人との間で疑義が生じないよう、就業規則等に明確に定めておく必要があります。
執筆者:三枝
関連コラム
- 令和7年度地域別最低賃金額改定について
- 先日開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。【答申のポイント】(ランクごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。注…
- 社会保険適用拡大のコストについて試算してみた
- 令和6年(2024年)10月から、短時間労働者の社会保険加入義務が、被保険者数101名以上の企業から、51名以上の企業へ拡大される。短時間労働者の社会保険の加入要件は次のとおりだ。・週の所定労働時間が20時間以上・所定内賃金が月額8.8万円…
- 所得税の定額減税の給与計算時の対応について
- 令和6年度の税制大綱が公表され、所得税・個人住民税に関して定額減税が盛り込まれております。特に所得税の定額減税は2024年の6月以降の給与・賞与、また年末調整についても影響があるため、会社での対応が必須となります。本コラムでは所得税の定額減…
- 時間外労働についての再認識
- 働き方改革が叫ばれて久しい昨今ですが、直近で公表されている令和4年度「過労死等の労災補償状況」を見てみると、令和3年度に比べ、労災請求件数は387件増加の3,486件、うち支給決定件数は103件増加の904件(うち死亡・自殺(未遂を含む)…
- 最低賃金今年も変わります!
- 今年も最低賃金が変更となる季節がやってきました。本コラムでは、最低賃金改正に関して、具体的にどのように変わるのか、また、変更に伴い気を付けるポイントについて、簡単にまとめていきたいと思います。 目次: …
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。
