お役立ちコラム
法人税に関する改正措置について
はじめに
今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは、法人税の改正措置についてです。
1.法人税に関する改正措置とは
「令和7年度税制改正大綱」で法人税に係る措置として、中小法人の軽減税率の見直し及び防衛特別法人税の創設が公表されました。
今回はその概要と財務諸表に与える影響についてご紹介いたします。
2.改正の概要
1.中小法人の軽減税率の特例の延長等(2025年4月1日~2027年3月31日までの間に開始する事業年度)
現行では、中小法人の所得金額のうち年800万円以下の部分について、軽減税率15%が適用されていますが、適用期限が2年延長された上で、以下の見直しが行われます。
①所得金額が10億を超える事業年度の軽減税率...現行15%⇒17%に引き上げ
②グループ通算制度の適用を受ける法人...対象から除外
2.防衛特別法人税が新たに創設(2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
法人税額に対して税率4%の新たな付加税が課されます。
中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から500万円(基礎控除額)を控除するとされていますが、法人税額が500万円を超える企業は、実質的な税負担が増加します。
3.改正による財務諸表への影響
2025年3月31日までに改正法案が公布されたことにより、実効税率が変更となるため、税効果会計への影響について留意する必要があります。特に防衛特別法人税については、全ての法人に影響があります。2025年3月期決算においては、2026年4月1日以降に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異について、以下のように実効税率が変更となります。
区分 |
実効税率 |
|||
現行 |
改正後 |
|||
標準税率 |
超過税率(※) |
標準税率 |
超過税率(※) |
|
外形標準課税対象法人 |
29.74% |
30.62% |
30.62% |
31.52% |
外形標準課税対象外法人 |
33.58% |
34.59% |
34.43% |
35.43% |
(※)東京23区
実効税率の引き上げにより、繰延税金負債よりも繰延税金資産を多く計上している企業では、繰延税金資産が増加し、税引後当期純利益の押上げ要因となる可能性があります。
おわりに
今回は、法人税に関する改正処置ついて簡単にご説明させていただきました。
CSアカウンティングでは、会計・税務のプロフェッショナルが、会計知識をもって様々なアドバイスをすることができます。
日頃の経理業務の中でも、わからないことや改善したいことがございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。
経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムをお読みいただきありがとうございます。次回のコラムでまたお会いしましょう。
執筆者:谷
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