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一括比例配分方式が個別対応方式より有利になるケース

消費税額の計算において、控除対象仕入税額の算定方法として個別対応方式と一括比例配分方式がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。また一括比例配分方式が有利となるケースはどのような場合がありますか。

個別対応方式におきましては、消費税を課税資産の譲渡等に対応するもの(A)、その他の資産の譲渡等に対応するもの(B)、その両方に対応するもの(C)に分類し、AとCにつき控除の計算に算入します。Aについては全額控除、Cについては課税売上割合を乗じた分のみ控除できます。A+C×課税売上割合が控除額となります。

一方、一括比例配分方式は、消費税を支出した段階で分類を行うことなく、合計額に一括して課税売上割合を乗じ控除額の計算を行います。こちらの方が簡便的な方法であるといえ、事務負担も少ないです。

一般的な企業の場合、課税売上(上記でいう課税資産の譲渡等)が非課税売上(上記でいうその他の資産の譲渡等)より多額になる場合が多いため、仕入れに関しても課税売上に対応する課税仕入れが多くなります。そのため、個別対応方式を選択することによって、その課税仕入れに係る消費税の全額を控除する方が消費税額の計算上有利となるケースが多く見受けられます。

一括比例配分方式が個別対応方式より有利になるケースの一例としては、非課税売上に対応する課税仕入れが多額に生じているケースが挙げられます(住宅向けの賃貸不動産会社の物件購入初年度等)。

この場合、個別対応方式ではその全額が控除対象外となりますが、一括比例配分方式を採用した場合、そのうちの一部を控除対象に算入することが可能となります。

一括比例配分方式が有利になるケースは、課税売上に対応する課税仕入れの額、非課税売上に対応する課税仕入れの額および課税売上割合により大きく左右されますので、有利・不利の判断は必ず試算を行うことが望ましいといえるでしょう。

<参考文献等>

国税庁HP タックスアンサー No.6401仕入控除税額の計算方法

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6401.htm

執筆者:齋藤

 

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