お役立ちコラム
ひも付きの見合い関係のある支払利息は短期前払費用の適用は可能か。
-
当社は、銀行から資金を借入れ、同額を子会社等へ貸付けしております。
その場合において、支払利息について原則である計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を損金の額に算入するのではなく、毎期1年以内に支払うことから、全額損金経理することにより短期前払費用の特例の適用を受けようと思いますが、支払日において、税務上損金の額に算入することは可能でしょうか。
-
借入金から生ずる利子の額は、原則としてその利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額をその事業年度の損金の額に算入することとなります。
ひも付き関係のある、支払利息については、費用収益対応の原則の観点から、短期前払費用の特例の適用は認められません。
借入金と貸付金がひも付きの見合い関係にある場合には、借入金に係る支払利子の額と貸付金から生ずる利子の額を対応させて計上すべきであるため、短期前払費用の特例の適用は受けられないこととなります。
2-1-24 貸付金利子等の帰属の時期
貸付金、預金、貯金又は有価証券(以下2-1-24において「貸付金等」という。)から生ずる利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する。ただし、主として金融及び保険業を営む法人以外の法人が、その有する貸付金等(当該法人が金融及び保険業を兼業する場合には、当該金融及び保険業に係るものを除く。)から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「六」により追加、昭61年直法2-12「一」、平12年課法2-7「二」、平19年課法2-5「二」により改正)
(注)
1 例えば借入金とその運用資産としての貸付金、預金、貯金又は有価証券(法第12条第1項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託の信託財産に属するこれらの資産を含む。)がひも付きの見合関係にある場合のように、その借入金に係る支払利子の額と運用資産から生ずる利子の額を対応させて計上すべき場合には、その運用資産から生ずる利子の額については、ただし書の適用はないものとする。
2 資産の販売等に伴い発生する売上債権(受取手形を含む。)又はその他の金銭債権について、その現在価値と当該債権に含まれる金利要素とを区分経理している場合の当該金利要素に相当する部分の金額は、当該債権の発生の基となる資産の販売等に係る売上の額等に含まれることに留意する。
参考URL 基本通達 2-1-24 (貸付金利子等の帰属の時期)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_01_05.htm
執筆者:菊池
関連コラム
- 収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
- 収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
- 令和4年度税制改正のポイント(グループ通算制度以外の法人課税)
- 【令和4年度税制改正のポイント】今回は、令和4年度税制改正のポイントの中で、グループ通算制度以外の法人課税に特化して次に掲げる項目について、みていきたいと思います。※グループ通算制度については、別途掲載を予定しています。 1-1.賃上げ促進…
- 収益認識に関する会計基準と工事契約
- 業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
- 電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
- 電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
- 法人税とは?対象となる法人や税率などの基礎知識を解説!
- 法人税とは?課税される法人の範囲法人税は、法人の事業によって得られた所得に対して課される税金です。法人と一言でいっても、法人の種類は様々で、法人の目的や特性により、法人税が課される法人と課されない法人に区分されます。法人税法における法人の区…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。