お役立ちコラム
専門業務型裁量労働制度について
-
専門業務型裁量労働制について、仕組みや特徴を教えてください。
-
専門業務型裁量労働制について、ご説明いたします。
労働基準法には、同法第32条に労働時間についての規制がありまして、
①1日8時間以上働いてはいけない
②週40時間以上を働いてはいけない
と定められております。
この基準を守らない場合は、同条違反として、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処せられることもあり、会社では、1日8時間、週40時間を超えないように時間配分を管理していく必要があるわけですが、
この時間配分の部分と、業務遂行の手段を、“労働者にお任せする”という仕組みが、労働基準法第38条に盛り込まれているのです。それが、専門業務型裁量労働制という仕組みです。
≪労基法第38条 専門業務型裁量労働制≫
”業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者にゆだねる必要があるため、遂行の手段や時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして、厚生労働省令で定める業務のうち、労働者につかせることとする業務“
誰もが簡単に導入できるような仕組みというわけではありません。
使用者と労働者との間で、労使協定を締結して、労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
さらに、制度を利用出来る対象業務は決められており、
・新商品、新技術の研究開発等の業務
・情報システムの分析、設計の業務等
・新聞出版の事業における記事の取材、編集の業務等
・デザイン考案の業務
・放送番組等の制作の事業におけるプロデューサー等の業務
・厚生労働大臣の指定する業務
(コピーライター、システムコンサルタント、インテリアコーディネーターゲーム用ソフトウェアの創作、証券アナリスト、金融工学等の知識を用いておこなう金融商品の開発、大学における教授研究の業務で主として研究に従事するもの、公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士)
となっております。
上記対象業務は、例示ではなく、限定列挙。
つまり、医師や司法書士、社会保険労務士、行政書士などは、対象業務に含まれていないので、当該制度を利用できないということになりますね。
また、例えば仮に、税理士の業務をおこなっているからといって、必ず当該制度を利用できるものではなく、
判例上では“税理士の有資格者である必要がある”といった判断が出ることもあります。
※レガシィ事件 平成25年9月26日
制度導入時には、対象としたい業務が、本当に制度利用の要件に合致しているのかを十分に確認をすることが必要となりますから、ご注意ください。
執筆者:立山
関連コラム
- 固定残業代を構成する手当について
- 固定残業代を構成する手当を確認する前に割増賃金の基礎となる賃金について確認したいと思います。割増賃金の基礎となる賃金割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金」となります。例えば月給制の場合、各種手当…
- 令和7年度地域別最低賃金額改定について
- 先日開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。【答申のポイント】(ランクごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。注…
- 障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?
- 従業員40人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。毎年報告時期になりますと、事業所に報告用紙が送付されてきますので、必要事項を…
- 職場における熱中症対策が強化されます!
- 今回は職場における熱中症対策として改正労働安全衛生規則が施行されますのでお知らせいたします。次の表からも2年連続で死亡者数が30人レベルであることなどから、死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策の実施が必要となります。具体的には…
- 常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となりました!
- 令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。法改正の背景日本における男女間…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。
