お役立ちコラム

職務発明を行った当社の従業員に報奨金を支給した場合の消費税の取り扱い

職務発明を行った当社の従業員に報奨金を支給した場合の消費税の取り扱いについてはどのようになるのでしょうか。

貴社の社内報奨金規定等の内容により、以下のとおり取り扱われることとなります。

①平成27年特許法改正を受け、使用者原始帰属制度を導入し貴社の規程等を改定した場合

 ・平成27年特許法改正により、職務発明に係る特許を受ける権利を使用者に原始的に帰属させる制度を導入し、自社規程等を改定した上で、貴社の従業員に報奨金を支給している場合には、当該権利を初めから法人帰属とすることが可能となりました。

その場合、特許を受ける権利はそもそも貴社にあるため、報奨金は資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税の課税対象外の取引となります。従って、貴社では、不課税仕入れとして処理することとなりますし、受給した発明者サイドでも、当該取引によっては消費税の納税義務は生じません。

 

②上記①によらない場合

・職務発明の特許を受ける権利が発明者に帰属する場合には、報奨金は資産の譲渡等の対価に当たるため、お役立ち情報vol.1428のとおり、消費税の課税対象取引となります。従って、貴社では、課税仕入れとして仕入税額控除の対象とすることができます。

一方、受給した発明者サイドでは、当該取引自体は課税対象となりますが、国内取引の消費税の納税義務は事業者に対して生じるものであるため、発明者が、不動産所得や事業的規模の所得を得ていないのであれば、消費税の納税義務は生じません。また、不動産所得や事業的規模の所得を得ている場合には、免税事業者であるかどうかにより、消費税の納税義務の要否が判定されることとなります。

 

 <参考文献等>

国税庁HP 

①の場合 

別紙 職務発明による特許を受ける権利を使用者に原始的に帰属させる制度を導入した場合の「相当の利益」に係る税務上の取扱いについて

https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/170206/index.htm

②の場合

質疑応答事例 社内提案報償金

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/18.htm

 

執筆者:瀧澤

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