お役立ちコラム
純損失の繰越しについて
-
確定申告の繰越損失って何ですか。
-
確定申告の繰越損失とは、事業所得などに損失(赤字)が生じた場合に、翌年以降3年間の黒字所得と相殺できる規定です。
事業所得、不動産所得、譲渡所得及び山林所得のいずれかに赤字の所得がある場合、他の所得と損益通算をすることができます。損益通算の適用の結果、なお控除しきれない損失がある場合、その損失を純損失といいます。この純損失は確定申告をすることにより、翌年以降最長3年間にわたって繰り越すことができ、各年分の所得金額から控除することが可能になります。例えば、平成28年度の所得が純損失(赤字)100万円、翌年29年度の課税所得(黒字)120万円の場合、平成29年度の課税所得120万円から繰り越した純損失100万円を控除した20万円が課税所得としてみなされます。したがって、100万円に対して課税されるはずだった税金が20万円に対して課税されることになります。
なお、純損失の繰越控除の適用を受けるためには、青色申告を前提として純損失の生じた年に損失の金額に関する事項を記載した確定申告書を提出し、かつ、その後の年分についても連続して確定申告書を提出することが要件とされています。
また、前年分も青色申告書を提出していることを条件に、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
<参考文献等>
国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
執筆者:沖野
関連コラム
- 退職所得課税の見直しについて
- はじめに令和5年4月岸田総理大臣を議長とする第16回新しい資本主義実現会議が開催され、その中で退職所得課税制度の見直しも議論がされました。退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除を設け…
- 令和5年度税制改正 NISA制度の抜本的拡充・恒久化
- はじめに 令和5年度税制改正の目玉の一つとして、NISA制度の抜本的拡充・恒久化が公表されました。NISA制度自体は以前から存在した制度で、一定金額の範囲内で投資によって得られた利益が非課税となる制度になっています。従来のNISA制度には一…
- 確定申告の基本
- はじめに確定申告の受付時期がやってきました。確定申告は全ての人が行わなければならないわけではありませんし、会社員の方等は年末調整を行っているから自分には関係ないと思われるかもしれません。しかし確定申告をすることによって納めすぎた税金が戻って…
- 退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
- 今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
- 歯列矯正は医療費控除の対象となるか
- 今回は所得税の確定申告における医療費控除のお話になります。 医療費控除の対象となる医療費は、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。 では「水準を著しく超える」とはどのようなものなのか。保険…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。