お役立ちコラム

個人事業時代からの従業員の退職時の注意点

当社は個人事業から法人成りして設立された法人ですが、この度個人事業時代からの従業員が退職することとなり、その従業員に退職金を支払うことになりました。この場合、退職金は全て法人の損金として取り扱ってよいのでしょうか?  また、退職所得控除額の計算の基礎となる勤続年数は、個人事業当時からの勤続年数を通算してもよいでしょうか。

個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職に伴い退職金を支給した場合は、一般的にはその退職金には個人時代と法人成り後の両方の勤務に対応する分が含まれていると考えられるため、原則として個人時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人事業の最終年分の事業所得の計算上、必要経費になります。

しかし、その退職が法人設立後相当の期間が経過した後であるときは、その支給した退職金の金額が法人の損金の額に算入されます。

また、退職所得控除については、個人事業当時の勤続期間を含めて退職金の額を計算することが退職給与規程等において明らかとなっている場合には、勤続期間の通算が認められます。ただし、青色事業専従者であった者の場合は、あくまでも法人設立の日から退職するまでの期間が勤続年数となるので、個人事業当時の勤続期間を通算することはできません。

 

<参考文献等>

国税庁HP タックスアンサー No.5220 個人事業当時からの使用人に対する退職金

://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5220.htm

国税庁HP 質疑応答事例 源泉所得税 個人事業当時の期間を通算して退職給与を支給する場合の勤続年数

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/04/04.htm

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