お役立ちコラム

特定譲渡制限付株式の会計処理と法人税処理

役員に特定譲渡制限付株式を交付した場合の会計処理と法人税処理を教えてください。

(1)会計処理

法人がその役員等に報酬債権を付与し、その役員等からのその報酬債権の現物出資と引換えにその役員等に特定譲渡制限付株式を交付した場合には、その付与した報酬債権相当額を「前払費用等」で資産計上するとともに、現物出資された報酬債権の額を「資本金(及び資本準備金)」として計上します。

特定譲渡制限付株式の交付後は、現物出資等をされた報酬債権相当額のうちその役員等が提供する役務として当期に発生したと認められる額を、対象勤務期間(=譲渡制限期間)を基礎とする方法等の合理的な方法により算定し、費用計上(前払費用等の取崩し)することが考えられています。

 

(2)税務処理

事前確定届出給与に該当する一定の特定譲渡制限付株式は損金の額に算入されます。

そして、損金算入時期については、役員等に給与等課税事由が生じた日(=特定譲渡制限付株式の譲渡制限が解除された日)においてその法人がその役員等から役務提供を受けたものとして、その役務提供に係る費用の額(損金算入額)をその法人の同日の属する事業年度の損金の額に算入することとされています。また、損金算入額については、原則として、その譲渡制限が解除された特定譲渡制限付株式の交付と引換えにその役員等により現物出資された報酬債権等の額とされております。

 

(3)参考処理例

時系列

会計

税務

報酬債権付与及び株式発行時

前払費用等××/資本金等×× 

前払費用等××/資本金等××

役務提供時

株式報酬費用××/前払費用等××

譲渡制限解除時

株式報酬費用××/前払費用等××

 

<参考文献等>

経済産業省HP 「攻めの経営」を促す役員報酬

http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428009/20160428009-1.pdf 

関連コラム

収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!
収益認識基準が2022年3月より強制適用に!!「収益認識に関する会計基準」が、大会社・上場会社において2021 年4月1 日以後開始する事業年度の期首から強制適用になります。(中小企業の適用は任意です)当該の収益認識基準に沿って会計処理を行…
収益認識に関する会計基準と工事契約
業会計基準委員会から、平成30年3月に『収益認識に関する会計基準』が公表され、令和3年4月1日以後開始する事業年度より強制適用となります。以前に、『収益認識に関する会計基準』によって収益認識がどのように構成されていくのかについてまとめました…
電子取引を電子データ保存する義務化は2年猶予で遠のいたか?
電子取引義務化は遠のいたのか?令和4年度(2022年度)税制改正大綱で2年間の猶予が決まる!電子取引を電子データとして保存する義務に向かっていたが・・・経理のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場において、今年は夏場から令和4…
グループ通算制度への留意点
令和4年4月1日以後に開始する事業年度から、グループ通算制度が始まります。グループ通算制度は連結納税制度が見直されたものです。連結納税制度は、各法人の税務情報を連結グループ内で集約し、一体としてまとめて申告する必要があり、分権的な意思決定が…
無形固定資産の概要とソフトウェアの管理
はじめに企業が事業活動を行う上で、ソフトウェアは、インフラとして欠かせないものとなり、情報通信技術が著しく進化している昨今においては、どの業界においても必要不可欠な存在となっています。そんなソフトウェアですが、会計処理については注意が必要で…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。