お役立ちコラム

商標権の更新の会計処理の留意点

この度、初めて商標権を更新することになりました。更新のための費用についての会計処理の注意点を教えてください。

 

商標権とは、商標を独占的に使用できる権利をいい、登録された商標を登録商標といいます。商標権が満了するまでの期間は、商標登録の日から10年間です。商標権は無形固定資産に該当しますので、御社は当初の登録時に他の減価償却資産と同様に、商標権の取得費用と、事業の用に供するために直接要した費用を取得価額として計上していると思われます。

商標権の登録を更新しない場合、商標権者はその権利を失うこととなり、更新をすることで登録期間を更に10年間延長することができます。そのため、商標権の更新は使用可能期間を延長させることとなり、資本的支出に該当するものと思われます。したがって、商標権の更新に直接要した費用を取得価額として固定資産計上を行うこととなります。

ただし、更新料の中には特許庁に納付すべき更新登録料が含まれています。登録免許税その他登記又は登録のために要する費用は取得価額に含めないことが可能ですので御検討ください。

 

<参考文献等>

国税庁HP 資本的支出と修繕費

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm

 

国税庁HP 固定資産の取得価額

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_03_01.htm

 

執筆者: 松田

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