お役立ちコラム

資本的支出をした場合の減価償却方法について教えてください

当社では先日まで事務所として使用していた建物(平成12年から使用)を店舗として使用することにし、改装費用として1,000万円を支出しました。これはいわゆる資本的支出に該当するかと思いますが、どの様に減価償却を行なっていけば良いでしょうか?

ご指摘の通り、用途変更のための改装費は原則として資本的支出となり、減価償却を通じて将来に渡って費用化していく事になります。

また、ご質問の減価償却の方法についてですが、建物が平成19年3月31日以前に取得したものあるため、次の2種類の方法から選択する事ができます。

①新たな資産を取得したものとして減価償却を行なう方法

②従来の建物と一体として減価償却を行なう方法

①の方法は今回の資本的支出を従来の建物とは種類及び耐用年数を同じくする別個の資産を取得したものとみなして減価償却を行なうものです。具体的には残存価額を1円とする新定額法により減価償却を行なうこととなります。

一方、②の方法は、今回の資本的支出を従来の建物と一体の資産とみなして取得価額を合算し、旧来の建物の償却方法で減価償却を行なっていく方法です(1年目だけは資本的支出部分の月数按分を行なう為、計算上は別々に行うことになります)。

これらの選択は各資産毎に自由に行なう事ができますが、一度選択した方法は翌年以降は変更できません。

なお、上記の二つの方法については、原則として①の方がより有利(より早く費用化される)になります。

しかし、ご質問の件とは異なりますが、平成10年3月31日以前から使用されている建物で旧定率法を採用されている等の場合には、②の方が有利になる場合(①では定額法のみしか採用できない為)もあるので検討の必要があります。

 

参考条文等

・タックスアンサー No.5405 資本的支出後の減価償却資産の償却方法等

http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5405.htm

 

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