お役立ちコラム
医師の宿日直許可について
前回のお役立ちコラムで医師の時間外労働の上限規制についてお伝えいたしました。
この上限規制の適用に伴い、労働時間の管理(勤怠システム導入)、業務分担の見直し(タスク・シフト/シェアを進め、医師に集中していた業務を分散)、業務の合理化(会議の見直し、ICT活用)などが進められているかと思います。
ここでは労働時間の管理における宿日直勤務について確認したいと思います。

労働基準法では、宿日直勤務が常態としてほとんど労働することがなく、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない宿直又は日直の勤務で断続的な業務(例えば、いわゆる「寝当直」に当たるような業務)については、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とすることを定めています(宿日直許可)。
<根拠:労働基準法第41条第3項>
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第四十一条この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
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そのため、宿日直許可を受けた場合、以下のような取扱いとすることが可能です。
(1)上限規制との関係で労働時間とカウントされない
(2)勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)との関係で、宿日直許可を受けた宿日直(9時間以上連続したもの)については休息時間として取り扱える
しかし、宿日直許可により在院時間の一部が上限規制との関係で労働時間から除外されることをもって、労働時間の短縮や勤務環境の改善がなされたものと捉えるべきではありません。
宿日直許可の取得のプロセスの中で、例えば、夜勤の看護師等が医師を呼ぶ際のルールを明確化する、夜間の医師の業務の一部を看護師等の医療スタッフにタスク・シフト/シェアする等の取組を行うことで、医師の負担を軽減し、宿日直許可の取得につながることがあります。
こうした取組は、宿日直許可の取得を通じた"働き方改革"であると言えます。
下図のとおり、少人数医師により幅広い業務を担当するのではなく、業務が集中している医師の休息を得るために、医療機関の業務体制全体を見直すことで、宿日直許可を取得するようにしましょう。

【参考】
医療機関の宿日直許可申請に関するFAQ 22.07
宿日直許可取得後の適切な労務管理のために
https://www.mhlw.go.jp/content/001237735.pdf
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(執筆者:坂田)
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