お役立ちコラム
週休3日制の導入にあたって
近年、「週休3日制」を導入する企業のニュースを耳にする機会が増えたと感じませんか?
今年4月には、日立製作所が2022年度中にも週休3日を可能とする勤務制度を導入予定との記事が新聞に掲載されました。
すでにユニクロやヤフーが週休3日制を導入していることはご存じかもしれませんが、今後人材獲得競争がより激化する中で、戦略的な「週休3日制」の導入を検討する企業はより増えていくことが考えられます。
【週休3日制導入タイプ】
導入企業の実施状況を見ると、週休3日制は大きく3つのタイプに分類されます。
【勤務形態】
労働基準法では、原則1日8時間、週40時間の労働時間の上限が定められています。
そのため、
給与維持型①を導入する場合、単純に1日の労働時間を10時間に増やしてしまうと労働日毎に2時間の時間外労働が発生することとなります。
この問題を解決するためには、以下の制度により労働時間管理枠を設計する必要があります。
なお、3日の休日を固定化する(金・土・日を休日とする等の)場合には、
1カ月単位の変形労働時間制を導入する方法が一般的になるのではないかと考えます。
【検討事項】
〇対象者の選定
ユニクロでは「地域限定正社員」に対して週休3日制が選択可能となっています。
また、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険やヤフーでは「育児・介護をする必要がある者」に対して導入をしています。
まずは、自社内で週休3日制導入の需要、および必要性を感じている社員の抽出作業を行ったうえで適正な対象者の選定を進めていきましょう。
〇有給休暇比例付与への移行
労働基準法では、
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者については有給休暇の比例付与が定められています。
週休3日制適用により所定労働時間及び所定労働日数が減少し、比例付与に移行する可能性がある社員がいる場合には、トラブルを防ぐためにも導入開始前の事前説明をお勧めいたします。
〇兼業・副業の可否
週休3日制を導入する目的は企業によって様々です。社員のスキルアップやボランティア活動等、個の力を伸ばす時間を確保する観点で導入する場合、兼業・副業を認めるか否かの検討も必要になります。
労務管理が煩雑になる兼業・副業については、社内で慎重に検討されることをお勧めいたします。
終わりに、人口減少が進む日本では、生産性向上と多様な人材の労働力を確保することが喫緊の課題となっています。
その上で「週休3日制」は従業員のモチベーション向上等による生産性向上に寄与するという意見もあり、かつ、多様な働き方を可能にする施策の一つとして導入が推進されています。
また、BIGLOBEが実施した「Z世代の意識調査」(※)では、「週休3日制で働きたい」と回答した方が65.8%にも上りました。
この結果からも分かるように、今後も引き続きより柔軟な働き方を希望する求職者が増えることが見込まれます。
優秀な人材獲得のためにも、「週休3日制」を含め、自社に合った働き方改革を検討していきましょう。
※ご参考
BIGLOBE「Z世代の意識調査(2022/2/24)」 https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2022/02/220224-1
CSアカウンティングの人事・労務・社会保険サービスは、勤怠管理・給与計算・社会保険を一元化することにより、本来従事すべきコア業務へのシフトをお手伝いいたします。
また、アウトソーシングによるコスト削減のみならず、社会保険労務士などの経験豊富な専門家がお客様のよき相談相手となり、人事・労務に関する問題をスピーディーに解決します。
ご相談はこちら⇒https://business.form-mailer.jp/fms/c543034e81511
(執筆者:川合)
関連コラム
- 仕事と不妊治療の両立
- 令和4年4月より不妊治療の保険適用が開始されました。これまで経済的に治療を断念せざるを得なかった方にとっては大きな転換点であり、また、保険適用になったことで社会の理解も高まることが予想されます。企業の中にはすでに不妊治療希望者を支援する制…
- 被用者保険(厚生年金・健康保険)適用除外の取り扱いが変わります。
- 被用者保険(厚生年金・健康保険)適用除外の取り扱いが変わります。従来、健康保険、厚生年金保険の被保険者とされない人は、下記の表の通りとなっておりました。このうち、『2か月以内の期間を定めて使用される人』の取り扱いが変わります。令和4年10月…
- 中小企業もパワハラ対策が義務化されます!
- 令和4年4月1日から中小企業に職場のパワーハラスメント対策が義務化されます。かねてより、労働施策総合推進法において、大企業に義務付けられていた「職場のパワーハラスメント対策」が、中小企業へも義務付けられる事となりました。本コラムでは、具体的…
- 新型コロナウイルス禍における休業手当の支給判断について
- 【質問】今般、新型コロナウイルス禍の影響により、まん延防止等重点措置が実施され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言も再検討されています。今後、都知事からの当社施設の使用停止要請がなされ、業務ができなくなってしまった場…
- 副業導入時のポイント ~副業内容の確認方法~
- 2021年10月のコラム(https://www.cs-acctg.com/column/jinji_romu/53943.html)にて、会社側は副業の導入に当たり、下記の対応が必要になるとお伝えしました。副業、兼業を認める方向にて就業規…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。