お役立ちコラム

テレワーク実態調査

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新型コロナウィルスの感染拡大による全国の就業者の働き方の変化について、公益財団法人NIRA総合研究開発機構より発表されたテレワーク実態調査結果が興味深いものとなっています。今回はこちらの内容をご紹介したいと思います。

調査期間: <第1回> 2020年4月1日~7日  <第2回> 2020年6月5日~18日

「NIRA総研 第2回テレワークに関する就業者実態調査報告書」

 

1.テレワーク利用率の推移

緊急事態宣言が出されていた4~5月は25%まで上昇した。解除後の6月時点では17%となった。

 

2.産業別のテレワーク利用率

6月時点で、高い順に「通信情報業」50%、「情報サービス・調査業」45%、「金融・保険業」30%、「電気・ガス・水道・熱供給業」24%となった。

低い方をみると、「卸売・小売業」12%、「運輸業」10%、「医療・福祉」5%であり、最も低いのは、「飲食業、宿泊業」4%となった。

 

3.メリットデメリット

テレワークを利用している人がメリットと感じた点は働き方の柔軟性、ワークライフバランスに関するものが多い。

・通勤を減らし、遠隔地の好きなところに住むことができる

・労働時間を柔軟にでき、私生活を充実させることができる

・事務仕事を効率化することができる

・テレワークが進めば、成果主義の導入が進む

 減少したとする点はコミュニケーションに関するものが多い。

・同僚や社外の人とのコミュニケーションのしやすさ

・仕事のアドバイス・相談・指導を行ったり、受けること

 

「テレワークにより、通勤を減らし遠隔地の好きなところに住むことができる」に対する肯定的な意見の割合を就業者の居住地の都道府県別にみると、都市通勤圏や東京圏が上位に並び、東京一極集中の是正や地方への移住といった考え方が東京圏を中心に強くなってきていると思われる。

 

4.テレワークの障害

テレワークを利用するうえで障害になった項目で最も高いのは、「テレワークは自分の職種や業務に合わない」で26%であった。

次いで「情報セキュリティ情報管理に対する不安がある」、「稟議や書類処理、経理処理の電子決裁の環境が整っていない」、「PC、プリンター、机など、自宅に仕事をする環境が整っていない」、「外部から会社・事務所のサーバーやシステムへアクセスが許されていない」等、ICT環境を障害に抱える人が多いのが目立つ。

 

5.生活の変化

テレワークをすることで仕事や生活で減少した項目は、「同僚や社外の人とのコミュニケーションのしやすさ」26%、「仕事のアドバイス・相談・指導を行ったり、受けること」22%、「組織・事業としての結束や一体感」22%、「趣味、社会活動、ボランティア活動」17%など、社員間や市民間の交流が必要とされる項目で減少が大きいのが目立つ。

一方、テレワークをすることで仕事や生活で増加した項目としては「家族とのコミュニケーション」19%、「リラックスした環境での業務」16%、「仕事中の何もしていない時間」15%と続く。家族との時間やフレキシブルな就業に関する項目で増加が目立つ。  

 

6.新型コロナウイルスの終息後に希望する働き方

全体では、6月時点で週1回以上テレワークをしたいと回答した人の割合は52%となった。年齢階級でみると、若い人ほどテレワークによる勤務を希望しており、40代以下では50%以上となった。他方、50代以上では毎日出勤したいと回答した人は過半数を占めている。

テレワーク利用者の86%は週1回以上のテレワークを希望しており、テレワークを利用していない人の45%とは大きな差がある。


 緊急事態宣言を挟んだ2度にわたる調査の結果、テレワークを導入した企業は緊急事態宣言解除後もそのまま制度を継続する傾向が見られます。新型コロナウィルス感染拡大前はなかなか進んでいなかった働き方改革ですが、今回のことでテレワーク導入に関しては加速しています。テレワークの利用者の多くはコロナウィルス終息後もテレワークの継続を望んでいることもわかってきました。

 場所にとらわれない働き方が普及するにつれ様々な社会への影響が予測されます。オフィス環境、居住地の選択、副業の増加、心身のストレスの変化、進学や就職への考え方等々。 

 この流れを本当の「働き方改革」につなげていくためには、テレワークの導入により見えてきたこと、新たな問題点を冷静に評価し、現場の声に耳を傾けながら今後の制度化について考えていくべきでしょう。

 

(執筆者:平野)

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