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在宅勤務とハラスメント

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 新型コロナウィルスの影響を受けて、急速に広がった在宅勤務制度ですが、新しい問題も顕在化しつつあります。働き方の変化に合わせて、労働者も従来の考え方ややり方を見直し、改善していく必要がありますが、在宅勤務に関連するハラスメントの話題を目にすると、まだまだこれからという様に感じます。在宅勤務という選択肢が一つ増えたのですから、上手く活用しながら生産性向上を高めたいものです。本稿では、最近話題のテレハラ、リモハラについて取り上げながら、在宅勤務とハラスメントについて考えてみたいと思います。

 

 

Q1.テレハラ、リモハラについて

Q2.どの様な対応が求められますか?

 

Q1.テレハラとはテレワークハラスメントの略語、リモハラとはリモートワークハラスメントの略語です。一般的に、在宅勤務等に伴うWEB会議やオンライン上でのやり取りに関連する嫌がらせ行為を指します。以下がその行為例です。

 

  1. WEB会議等の際に、上司等からプライベート空間を映す様に強要される
  2. WEB会議等で垣間見えた家族等への悪口を言われる
  3. オンライン画面を通じて、セクハラとなる言動を言われたり、執拗に業務に関係の無い私的な事を尋ねられる。
  4. WEB会議等に、嫌がらせを目的とし、自身のみ招待されず仲間外れにされる
  5. 在宅勤務できちんと業務行為を行っているかを上司等から監視され、過度な業務報告を求められる

1~3の事象は、在宅勤務というプライベート空間が影響して、オフィス内での業務中よりも、公私の垣根が低くなってしまうことが大きな原因だと考えられます。3は在宅勤務に限らずに起こり得る内容ですが、在宅勤務だとより一層悪質になっているという考察もある様です。

4はこれまでのハラスメント行為類型にもありましたが、仲間外れ等の問題が、リモートワークでも存在するという事になります。

5はリモート環境下におけるマネジメントの難しさに、未だ労働者側が追い付けていないのかもしれません。相手の姿が見えず、疑心暗鬼になりがちですし、リモートワーク下におけるマネジメントの在り方に関する知見や教育も乏しい実情があるかと思います。2020年はテレワーク元年との報道にもある様に、日本では多くの企業、労働者にとって在宅勤務が初めての働き方ですので、今後徐々に改善されていく事が期待されます。

 また在宅勤務ですと、コミュニケーション手段がチャット等の文字である事も多く、文字での伝え方は、発信者が思う以上に受信者側にとっては強い言葉として受け止められる傾向にある事もテレハラ、リモハラが増えていると言われる要因の一つかと思われます。

 これらハラスメント行為の根本的原因としては、行為者に“悪意”が潜んでいると考えられます。同じ行為であっても程度の差こそあれ、双方の関係性が良好であれば、ハラスメント問題は比較的生じません。やはりそこに元来の良好では無い関係性や、“悪意”が介在すると、容易にハラスメントへ転じてしまう可能性を秘めています。

 また現在のコロナ禍においては、先の見えない不安感、自粛要請等による閉塞感等、心に余裕を持てないという事情も相まって、結果的にハラスメント行為に至ってしまうケースもあるのだと思います。労働者自身のメンタル面の影響もあるかもしれません。

 

Q2.リモート環境下におけるハラスメントの特性として、被害報告や実態調査の難しさが考えられます。リモート環境である為、相談窓口への連絡を躊躇したり、当事者以外には見えない部分も多い為です。

 

対策としては、法改正で義務付けられたハラスメント対策と重複しますが、相談窓口の周知徹底があげられます。社内にポスターを貼る等ですとリモートワーカーは閲覧出来ませんので、社内のイントラにも掲載する等、誰でもが容易にアクセス出来る環境に相談窓口を設置しておく事が求められます。

※法改正内容の詳細については「パワハラ対策の義務化」のコラムも併せて御覧頂けますと幸いです。

また、在宅勤務時には画面にプライベート空間が映らない様にする、家族等の声なども入らない様にする、ビジネスマナーとしてあまりに崩した身なりにしない等も相手側へ付け入る隙を与えないという意味で予防策になる面もあるかもしれません。もう一つの側面として、あまりに乱れた服装等で在宅勤務を行っていると、公私混同を起こし、プライベートの延長の様な軽口をしてしまい、本人は軽口のつもりでも、受け手にとっての苦痛の程度が甚だしいとなると、本人が予想し得ない、思わぬトラブルとなりかねません。在宅勤務とは言え、業務であるという節度を保った対応が双方に求められています。

 

これから公私問わずにデジタル空間でのマナー等は求められていく時代になっていますので、是非賢く使って、不要なトラブルを回避し、生産性向上アップを目指していきたいところです。

 

(執筆者 緒方)

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