お役立ちコラム
海外赴任開始時の給与・賞与源泉徴収の取り扱いをご存じですか?
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居住者と非居住者の考え方と源泉徴収の取り扱い
税法上、日本を1年以上の予定で離れる場合は、日本を出国した日の翌日から日本の「非居住者」となり、また海外での勤務期間が1年未満の予定の場合は、「居住者」扱いとなります。
「居住者」か「非居住者」かの判定が海外勤務者の源泉徴収においては重要になります。
区分 | 税法上の定義 | 課税範囲と課税方法 | |
国内源泉所得 |
国内源泉所得以外の所得 |
||
居住者 |
国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年 以上居所(注)を有する個人 |
課税 |
原則課税 |
非居住者 |
居住者以外の個人(1年以上の予定で日本を離れる人は非居住者) |
課税 |
原則非課税 |
注:「居所」とは生活の本拠(住所)までは至らないが、相当の期間継続して現実に居住する場所
出国直後に支払う給与の取り扱い
(1)給与計算期間の途中で出国
給与の計算期間の途中で、非居住者となった人に支払われる給与で、非居住者となった日以後に支給日が到来するものについては国内勤務期間と国外勤務期間の両方がある事になります。
このような場合で、その計算期間が1か月以下であるものは、その給与の全額がその者の国内において行った勤務に対応するものである場合を除き、国内勤務期間についても国内源泉所得に該当しないものとして取り扱う事が出来る事とされているため非課税となります。(所得税基本通達212-3)
(2)給与計算期間後に出国
非居住者となった日以後に支給日が到来するものについては、国内勤務期間に対応する部分について非居住者に支払う国内源泉所得として20.42%で課税する必要があります。
出国後最初に支払う賞与の取り扱い
賞与計算期間の途中で、非居住者となった人に支払われる賞与(計算期間が1か月を超えるもの)で、非居住者となった日以後に支給日が到来するものについては、国内勤務期間に対応する部分について、非居住者に支払う国内源泉所得として20.42%で課税する必要があります。尚、国内勤務期間分の金額は、以下の算式で按分計算します。
- 国内勤務期間分の金額=賞与総額×(国内勤務期間/賞与計算期間)

まとめ
海外赴任中や帰国後の取り扱いについても,様々な事が想定されます。
事前の情報収集に努めましょう。
(広報誌「こんぱす 2014年春号」より抜粋)
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執筆者:中谷
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