お役立ちコラム

働き方改革関連法の概要

働き方改革関連法が成立しましたが、改正内容を教えて下さい

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、平成30年7月6日に公布されました。今回の働き方改革関連法は労働三法(労働基準法・労働関係調整法・労働組合法)の成立以来、70年ぶりの労働法の大改革といわれています。社会問題となっている長時間労働と正規・非正規格差の問題の解決へ向けて、「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」及び「雇用形態にかかわりない公正な待遇の確保」のために関係各法令が改正されています。具体的な改正内容は以下の通りです。

 

Ⅰ.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

(1)労働基準法の改正

①時間外労働の上限について月45時間(休日労働含まない)、年360時間(休日労働含まない)を原則とし、特別な事情がある場合でも単月100時間未満(休日労働含む)、2~6か月平均で月80時間以下(休日労働含む)、年720時間(休日労働含まない)を限度に設定する。原則(月45時間)を超えるのは年6か月までとする。

※一部業種に適用除外あり

②月60時間を超える時間外労働の割増率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止

③使用者に、年5日以上年次有給休暇の付与(時期指定)を義務付け

④フレックスタイム制の上限を清算期間の上限を1か月から3か月に延長

⑤高度プロフェッショナル制度の創設

(2)労働安全衛生法の改正

①長時間労働時の医師による面接指導の強化

②労働時間の把握義務の明確化

※管理監督者や裁量労働適用者も対象

③産業医・産業保健機能の強化

(3)労働時間等設定改善法の改正

①勤務間インターバル制度の普及促進等

 

Ⅱ.雇用形態にかかわりない公正な待遇の確保

(1)パートタイム・有期雇用労働法の制定・整備

①短時間・有期雇用労働者と正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、現行の労働契約法20条を削除して、パート有期法8条でパートタイム労働者と有期雇用労働者を一括規制

②労働者の待遇に関する事業主の説明義務

(2)労働者派遣法の整備

①派遣労働者と派遣先の労働者との不合理な待遇の禁止に関し、パートタイム有期法と同様の規制を整備

(3)労働者派遣法及びパートタイム・有期雇用労働法の整備

①行政による履行確保措置・行政ADRの整備

 

一部例外はありますが、Ⅰについては2019年4月1日、Ⅱについては2020年4月1日に施行されます。来年4月の改正では労働時間管理が今後より一層重要となりますので、施行日直前に慌てることのないよう今から準備を進めていっていただければと思います。

 

執筆者:中谷

 

関連コラム

障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)目次障害者の法定雇用率の段階的引き上げ常用雇用労働者、障害者のカウント方法除外率の引き下げ障害者雇用のための事業主支援1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ民間企業の法定雇用…
雇用保険料率の引き上げについて
令和5年4月1日から労働者負担分・事業主負担分ともに雇用保険料率が上がります。労働者負担分が変更となっておりますので、給与計算時に料率の変更を忘れないようにご注意ください。令和5年4月1日から令和6年3月31日までの雇用保険料率は以下のとお…
令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除改正点について
扶養控除、年末調整に関連する法改正が令和5年より施行されています。その中の大きな改正点として、国外居住親族に係る扶養控除の適用を受けるケースに関するものがあります。自身の会社に外国人従業員がいる場合には、母国の親族を扶養親族としているケース…
給与のデジタル払い解禁に備えて会社に必要な準備とは?
厚生労働省は令和4年11月28日、給与のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」を公布しました。 給与の振込先が拡大されるのは25年ぶりで、企業は、労使協定を締結したうえで労働者…
治療と仕事の両立支援を考えましょう
【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受け…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。