お役立ちコラム

定年再雇用の年次有給休暇について

弊社では、来月に定年を迎え、再雇用する予定の社員がおります。再雇用する場合、年次有給休暇を付与する際に必要となる勤続年数の取扱いはどうなりますか?

定年で一度は退職となりますが、実態は労働契約関係が存在する限り勤続年数は通算されます。よって継続勤務しているものとして取り扱いますので、有給休暇の残存日数もそのまま引き継ぐことになります。

定年退職の日から再雇用の日まで相当期間が存在しない限りは、定年により一旦は退職して労働契約が終了したとしても、それは形式的なものに過ぎず、実態に即して見れば継続して勤務していると理解するのが自然であるため、継続勤務の取扱いがなされます。

継続勤務は、文字通り「継続して勤務していること」になり、同じ使用者に労働者が雇用されている状態をいいます。継続勤務は在籍期間のことをいい、労働契約が存在している状態と定義されています(S63.3.14 基発第150号)。例えば休職や、長期にわたる欠勤が続いていても、会社と雇用関係が続いていれば継続して勤務しているものと扱い、この期間も在籍期間として通算されることになります。また定年退職者を嘱託等で再雇用する場合も、退職金が支払いの有無に係らず、実態として労働契約関係が存在していれば、勤続年数は通算するものとされており、上記行政通達の中でも、「定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合」が例として挙げられています。

定年退職日から再雇用の日まで、どのくらいの期間を空けて再雇用すれば継続勤務とならないかについて、現在具体的な期間は法律をはじめ通達においても触れられていない状況です。

しかし、高年齢者雇用安定法の法改正に対応した就業規則でよく見られる、定年退職の翌日に再雇用するような場合は継続勤務となることは明らかであり、勤続年数に通算されます。

継続勤務となるかどうかについては「実態に即して判断する」ことがポイントとなります。

関連コラム

障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)目次障害者の法定雇用率の段階的引き上げ常用雇用労働者、障害者のカウント方法除外率の引き下げ障害者雇用のための事業主支援1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ民間企業の法定雇用…
治療と仕事の両立支援を考えましょう
【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受け…
SDGs達成のために人事部門が取り組むべき施策とは?
ここ数年、ニュースなどで大々的に取り上げられることが多いSDGs、企業経営の中では避けては通れないテーマとなっています。その中で、人事労務担当者として自社のSDGsについて取り組む場合、具体的にどのように進めていけば良いでしょうか。17ある…
男女の賃金差異の公表が義務化されます!
令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。【法改正の背景】日本における男…
社内だけでは済まされない!社外関係者とのハラスメント対策について
2019年5月、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が成立しました。改正法は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されています。パワハラ防止法において事業主に求められていることは、自社の雇用する労働者間にお…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。