お役立ちコラム
一方的な給与カットは許されるのか?
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経営状況の悪化を理由に、今月から社員の給与を20%カットすると社長から言われました。業績が悪いことは理解できますが、20%もカットされると非常に生活が苦しくなります。このような一方的な給与カットは許されるのでしょうか?
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経営状況が悪化したという理由があっても、賃金や労働時間等の労働条件を労働者の同意無く、使用者が一方的に変更することは原則として出来ません(労働契約法第8条)。
賃金は労働条件の最も重要な要素ですので、一方的な給与カット(賃金の減額)は、労働条件の「不利益変更」に該当します。
どうしても経営上の理由で給与カットしなければならないのであれば、従業員の個別の同意を得る他、一定期間に段階的に引き下げる経過措置を行う等、慎重に対応しなければなりませんまた、従業員の同意を得るには、給与カット(賃金の減額)の必要性や合理的な理由を十分に説明し、従業員の自由な意思に基づいて、給与カットの同意を書面等でもらっておく必要があります。
しかし、従業員各人の個別の同意が得られない場合でも、労働組合の同意を得て労働協約で減額が合意されたり、就業規則に「賃金の減額改定」について規定されたりした場合には、この賃金の減額が有効となる場合がありますが、この場合でも従業員にとって不利益な変更に該当する場合の就業規則の改定は、「高度な合理性」が必要とされます。
【ポイント】
(1)賃金の減額等の労働契約の変更は、労働者の自由意思に基づく同意が必要。
(2)労働者の同意なく、一方的に不利益に変更することは出来ない。
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