お役立ちコラム

内部告発を理由とする懲戒解雇は有効でしょうか?

勤務している食品会社で有害成分を含んだ製品を販売していることがわかり内部告発したところ懲戒解雇を言い渡されました。この解雇は有効になるのでしょうか?

内部告発に正当性があると判断される場合、通報者は保護されるため解雇は無効になります。

近年、消費者の信頼を裏切る企業不祥事の続発により、一部の事業者は市場からの撤退を余儀なくされました。食品の偽装表示事件等に見られるように、これらの犯罪行為や法令違反行為の多くは、事業者内部の労働者等からの通報により明らかにされました。

事業者による法令遵守(コンプライアンス)を確保し、国民の生命、身体、財産などへの被害を防止していく観点から、平成16年に公益通報者保護法が公布されました。(施行日は平成18年4月1日)。

 

公益通報者保護法は、

①  公益を守る目的で企業などの不正行為を通報した公益通報者を解雇や理不尽な取扱い(降格、減給など)から保護すること

②  国民の生命・財産などの保護にかかる法令を企業や行政機関に順守させること

を目的としています。

 

通報の対象になる違反行為は、横領等の刑法違反、食品安全法違反、証券取引法違反、その他の犯罪行為になります。また、犯罪にまで発展していない場合、例えば是正勧告に対する違反行為等も通報対象に含まれます。

通報先は、事業者内部、行政機関、報道機関等事業者外部などになります。

公益通報を受けた事業者は、是正措置等について公益通報者に通知するよう努めなければなりません。

 

詳細は消費者庁の公益通報者保護法サイトをご参照ください。

http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/index.html

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