お役立ちコラム

育児中の時間外労働について、制限できますか?

保育園に通園する子供を持つ女性労働者です。保育園のお迎え時間もあり、仕事が終わったら、すぐに帰りたいのですが、上司に残業を命じられることが多くあります。 育児中は、時間外労働を制限することはできるのでしょうか?

育児・介護休業法において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、その子の養育のために請求した場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはならないとあります。(法第17条第1項)。

この時間外労働の制限の請求は、1ヶ月以上1年以内の期間について、その開始日及び終了日を明らかにして、その1ヶ月前までに次の事項を記載した書面により行う必要があります。また、この請求は何度でも出来ます。

但し、継続雇用された期間が1年に満たない労働者、配偶者が常態としてその子を養育できると認められる場合等に該当するときは請求できません。

 

労働基準法制定当時は、女性労働者の時間外労働を1日2時間、1週6時間前までと制限してきましたが、現在では、女性の雇用機会を狭め、男女「平等」の妨げになるという認識が国際的にも定着したことから、昭和60年に男女雇用機会均等法制定されました。

それと同時に、労働基準法の女性保護規定については、妊娠・出産にかかわる母性保護の機能が強化されましたが、一方では、女性の時間外・休日労働の制限と深夜業の禁止が全廃され、満18歳以上の労働者は、男女を問わず同条件で、時間外・休日労働及び深夜労働を行うことができることになりました。

しかし、これにより女性労働者の家庭生活に重要な影響を及ぼす可能性が生じたこと等、次世代育成支援を進めていく上でも大きな課題となっている育児や介護を行う労働者の仕事と家庭との両立をより一層推進するために、育児・介護休業法が改正されました。

また、平成22年6月30日の改正により、3歳までの子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働(残業)が免除されます。

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