お役立ちコラム

消化できなかった有給を会社が買上げすることは可能なのでしょうか?

従業員が消化できなかった有給休暇を、会社で買い取っても問題ないのでしょうか。

原則としては有給休暇の買上げはしてはいけないことになっていますが、例外として認められるケースもあります。

労働基準法39条の年次有給休暇は、労働者に有給取得の権利を行使させることを目的としています。よって、有給休暇の買上げは労働者の有給休暇の取得の妨げになりうるため違法となり、行政解釈でも同様の解釈が示されています。(昭30.11.30 基収4718号)

例外として有給休暇を買上げることが出来るケースは、

①  退職時に未消化の有給休暇がある場合

②  時効により消滅する有給休暇がある場合

③  労働基準法の基準を上回る有給休暇を付与している場合、上回った部分の買上げ

があります。なお、有給休暇の買上げを実際に行う場合、有給休暇はそもそも消滅しているために額についての法律上の規定はありません。

ただし、有給買上げを制度化して就業規則に規定するようなことは、労働者に買上げを期待させてしまい、有給休暇取得の妨げにつながる可能性があるため好ましくありません。

使用者は出来るだけ労働者に有給取得の権利を行使してもらうよう配慮することが必要になります。

関連コラム

障害者の法定雇用率 段階的な引き上げ決定
障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。(令和6年4月以降)目次障害者の法定雇用率の段階的引き上げ常用雇用労働者、障害者のカウント方法除外率の引き下げ障害者雇用のための事業主支援1.障害者の法定雇用率の段階的引き上げ民間企業の法定雇用…
4月1日から中小企業も月60時間超残業の割増賃金率が50%になります!
長時間労働の抑制のため、大企業は月60時間超の残業代割増率が引き上げられていました。中小企業に対しては適用が猶予されていましたが、2023年4月からは中小企業にも適用されることになります。つまり、中小企業でも月60時間超の残業に対しては25…
ハラスメント対策について
ハラスメント対策はお済みですか?ハラスメント対策が事業主の責務とされており、法令上の対応が求められているところです。具体的にどの様な対策が求められているか、ポイントを解説します!目次 1.ハラスメント対策がなぜ重要なのか? 2.法的位置づけ…
治療と仕事の両立支援を考えましょう
【会社が治療と仕事の両立支援を行う意義】「治療と仕事の両立支援」とは、病気を抱えながらも働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受け…
求人を出す際に要注意!職業安定法が改正されました
 令和4年10月1日に改正職業安定法が施行され、労働者の募集を行う際のルールが変わります。改正により、「求人等に関する情報の的確な表示」および「求職者の個人情報を収集する際の業務の目的の明示および業務の目的の達成に必要は範囲内での収集・使用…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。