お役立ちコラム

合併、転籍、出向の際の有給付与の元になる勤務期間について教えてください。

有給付与の元となる勤続年数について、会社が合併した際にはいつから起算されるか教えてください。また、転籍や出向をした時についてもそれぞれ教えてください。

合併:合併前の勤続年数を通算します。

転籍:転籍後の再雇用の時点から勤続年数を起算します。

出向:出向元の勤務期間を通算して継続しているものとなります。

合併とは、契約により2つ以上の会社が合同することをいい、吸収合併と新設合併のいずれにおいても、一切の権利義務関係は存続会社または新設会社に包括的に承継されます。よって包括承継という性格から、労働契約上の地位と内容(労働条件も含みます)も合併後の会社との間に当然承継され、勤続年数も継続することになります。(昭24.1.5 基収第168号)

転籍の場合は使用者に変更が生じたことが明らかであり、転籍先で新たな労働関係が成立するという考え方が有力です。よって年休権の日数算定に当たっても継続勤務とみることは難しいと思われ、転籍等により子会社で再雇用される場合などは、原則として再雇用の時点から勤続年数を起算すべきとなります。

出向の場合は、二重の労働契約関係が成立している又は出向元と出向先の双方と労働者の間にそれぞれ労働契約関係があるといわれる場合がありますが、正確には、出向では労使間の権利義務が出向元・出向先間で分割され、部分的に出向先に移転するものとされます。判例上でも、1個の労働契約を構成する権利義務が労働者と出向元、労働者と出向先に分かれて存在する関係であるとされています。(栃木合同輸送事件 名古屋高裁判決 昭62.4.27)

有給の取扱いについては、出向元における労働契約関係が根本的に継続しているとみることができ、出向元の勤務期間を通算して継続勤務しているものと解されることになります。よって、出向元における勤務期間を通算した勤務年数に応じて有給を与えなければならないことになります。(昭63.3.14 基発第150号)

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