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定期健康診断の再検査の費用は誰が負担するのでしょうか。

毎年定期健康診断を行っていますが、今回、要再検査となった社員がいます。会社として再検査を受けさせなければならないのでしょうか。また再検査を受けた場合、その費用は会社が負担しなければならないのでしょうか。

労働安全衛生法、じん肺法により、雇入れ時のほか、定期健康診断、特殊健康診断など一定の健康診断が事業主には義務付けられています。これらの法律により義務付けられている健康診断については、当然に事業主が負担すべきものとされています。

ただし会社指定の医師でなく、社員が選んだ医師による健康診断を受診した場合などは事業主が負担する必要はありません。

定期健康診断の結果が「要再検査」というものであれば、法律上会社はそれを社員に通知するだけで良いということになります。費用負担に関しても、法令により定められていませんので、再検査の費用を個人負担としても構いません。そのため就業規則や労使間の協議により決定する事項となります。

しかし「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、再検査や精密検査を行う必要がある労働者に対して、「受診を勧奨するとともに、意見を聞く医師等に当該検査の結果を提出するよう働きかけることが適当である」としていますので、会社として再検査の受診を働きかけることが必要となります。

一次健康診断の結果、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、肥満指数(BMI)検査のすべての項目が異常の所見となった場合は、労災保険の二次健康診断等給付を受給することができるため、無料で受診することができます。また、長時間労働者に対する面接指導にかかる費用については、健康診断と同様に法律で事業主に義務付けてられていますので、当然に事業主が負担すべきものとなります。

上記内容をふまえ、どのように対応すべきかを決定の上、就業規則に記載することをおすすめいたします。

 

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