お役立ちコラム

定期健康診断の再検査の費用は誰が負担するのでしょうか。

毎年定期健康診断を行っていますが、今回、要再検査となった社員がいます。会社として再検査を受けさせなければならないのでしょうか。また再検査を受けた場合、その費用は会社が負担しなければならないのでしょうか。

労働安全衛生法、じん肺法により、雇入れ時のほか、定期健康診断、特殊健康診断など一定の健康診断が事業主には義務付けられています。これらの法律により義務付けられている健康診断については、当然に事業主が負担すべきものとされています。

ただし会社指定の医師でなく、社員が選んだ医師による健康診断を受診した場合などは事業主が負担する必要はありません。

定期健康診断の結果が「要再検査」というものであれば、法律上会社はそれを社員に通知するだけで良いということになります。費用負担に関しても、法令により定められていませんので、再検査の費用を個人負担としても構いません。そのため就業規則や労使間の協議により決定する事項となります。

しかし「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」では、再検査や精密検査を行う必要がある労働者に対して、「受診を勧奨するとともに、意見を聞く医師等に当該検査の結果を提出するよう働きかけることが適当である」としていますので、会社として再検査の受診を働きかけることが必要となります。

一次健康診断の結果、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、肥満指数(BMI)検査のすべての項目が異常の所見となった場合は、労災保険の二次健康診断等給付を受給することができるため、無料で受診することができます。また、長時間労働者に対する面接指導にかかる費用については、健康診断と同様に法律で事業主に義務付けてられていますので、当然に事業主が負担すべきものとなります。

上記内容をふまえ、どのように対応すべきかを決定の上、就業規則に記載することをおすすめいたします。

 

関連コラム

令和7年度地域別最低賃金額改定について
先日開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。【答申のポイント】(ランクごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。注…
障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?
従業員40人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。毎年報告時期になりますと、事業所に報告用紙が送付されてきますので、必要事項を…
職場における熱中症対策が強化されます!
今回は職場における熱中症対策として改正労働安全衛生規則が施行されますのでお知らせいたします。次の表からも2年連続で死亡者数が30人レベルであることなどから、死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策の実施が必要となります。具体的には…
常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となりました!
令和4年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられることとなりました。法改正の背景日本における男女間…
育児介護休業法の改正に伴う就業規則等の見直し
令和6年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、令和7 ( 2 0 2 5 ) 年4月1日から段階的に施行されます。男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防…

当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。