お役立ちコラム

5年分まとめて申告できる?医療費控除について

はじめに


今回の経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムは5年分まとめて申告できる?医療費控除についてです。

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1.医療費控除とは


医療費控除とは、自分自身や生計を一にする配偶者、その他の親族のために支払った1年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税を計算する際に、その超過分を所得から差し引くことができる制度です。

これにより、所得税の課税対象となる所得が減り、結果として納める税金が少なくなる(還付される)仕組みです。

対象となる医療費の期間は、その年の11日から1231日までに支払った医療費が対象です。

2.医療費控除は5年分まとめて申告できるのか


医療費控除は過去5年分をまとめて申告することができます。ただし、いくつかの注意点があります。


①「まとめて」は「合算」ではない


5年分まとめて」というのは、5年間の医療費を合算して申告する、ということではありません。あくまで1年ごとに、それぞれの年の医療費控除を申告する必要があります。

例えば、2021年から2025年までの5年分を申告したい場合、2021年分の医療費で10万円(または総所得金額の5%)を超えているか、2022年分で超えているか...というように、年ごとに控除額を計算し、それぞれの年の確定申告書を作成する必要があります。


②還付申告として手続きする


通常の確定申告期間(翌年216日~315日)を過ぎてからの申告は、「還付申告」として扱われます。この還付申告は、医療費を支払った年の翌年11日から5年以内であれば、いつでも行うことができます。

例えば、2025年に支払った医療費の控除を申告したい場合、202611日から20301231日までの間であれば手続きが可能です。

3.医療費控除の申告方法


還付申告も、通常の確定申告と同様に、以下の方法で手続きができます。

  • e-Tax (電子申告): 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用し、自宅のパソコンやスマートフォンから申告できます。過去分の申告も可能です。
  • 税務署で手続き: 確定申告書を作成し、税務署に直接提出または郵送します。

4.医療控除に必要な書類とは


  • 確定申告書: 過去の年分のものを作成します。
  • 医療費控除の明細書: 各年分の明細書を作成します。
  • 医療費の領収書: 2017年分の確定申告から、医療費の領収書は原則として提出が不要になりましたが、自宅で5年間保存する義務があります。税務署から提出を求められる場合があるため、必ず保管しておきましょう。
  • 源泉徴収票: 会社員の方の場合、各年分の源泉徴収票が必要です。

確定申告書や医療費控除の明細書は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。

もし、申告を忘れていた過去の年分の医療費がある場合は、還付申告によって税金が戻ってくる可能性がありますので、領収書を整理して手続きを検討してみましょう。

おわりに


今回は、医療費控除についてご説明させていただきました。

CSアカウンティングでは、会計・税務のプロフェッショナルが、会計知識をもって様々なアドバイスをすることができます。

日頃の経理業務の中でも、わからないことや改善したいことがございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

経理・会計・税務BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のコラムをお読みいただきありがとうございます。次回のコラムでまたお会いしましょう。

執筆者:谷


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