お役立ちコラム

青色専従者給与って自由に増減させていいんですか?

数年前に脱サラして自営業を始めました。昨年から妻を青色専従者とし、税務署に届け出ています。

その届出には専従者に支払う青色専従者給与の額を月10万円として設定したのですが、今年は利益が出そうなので、半年経過した時点から月20万円に引き上げようかと考えています。

最初に届け出た金額とは変わってしまいますが、なにか問題ありますか?

ご質問のケースでは、変更の理由を合理的に説明できるかどうかがカギとなりそうです。

 

青色専従者給与の変更に関しては、形式と内容を踏まえて判断が必要となります。

 

形式面では、青色専従者給与が増額した場合に「青色専従者給与に関する変更届出書」を作成します。この届出に変更事項・変更理由を記載して、遅滞なく所轄税務署に提出しなければなりません。「遅滞なく」については特に明文化されていませんが、変更後の給与を最初に支給するまでに届け出ることが望ましいでしょう。

 

内容面では、変更届出書に記載した「変更理由」が適正なものかを検討する必要があります。

専従者給与の届出制は、事業主の利益調整を排除する目的もあるため、「利益が出たので」では理由として適正ではない可能性があります。

また、青色専従者給与は「労務の対価として相当であると認められる金額」を超える金額は必要経費に算入されないこととなっていますので、給与を増額するに見合った労務内容の向上を説明できなければなりません。

 

 

以上のことから、他に従業員がおらず、労務や給与を比較する対象が無い場合には、金額の設定には十分注意する必要があると言えるでしょう。

 

参考:国税庁HP タックスアンサー No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2075.htm

 

執筆者:西山

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