お役立ちコラム

記念パーティーでお得意様より頂いたご祝儀は交際費等の金額から除いてよいのか

A社は、創業30周年を迎えるに当たり、得意先など約60名を招き、30周年記念パーティーをホテルで開催しました。

 その際の費用は、パーティ代、記念品代など合わせて400万円でしたが、得意先などの参加者からのご祝儀が80万円ありましたので、最終的な負担額は320万円で済みました。

 税務上、交際費等の金額はご祝儀の金額を除いた320万円でよろしいのでしょうか。

 

 交際費等とは「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(…)のために支出するもの」を指しています(租税特別措置法第61条の4第4項)。したがって、交際費等の損金不算入制度は、法人が行った行為に対して課税を行うものとなります。

 今回のケースの場合、A社の最終的な負担額は320万円(400万円-80万円)ではございますが、A社が行った接待等の行為(パーティーの開催、記念品の贈答)に係る金額は400万円でございますので、税務上の交際費等の金額は400万円となります。

 なお、得意先から頂いたご祝儀80万円につきましては、A社が行った行為とはならないため、交際費等の金額の算定上、支出額400万円と相殺はできず、雑収入に計上されることとなります。

<参考文献等>

租税特別措置法第61条の4第4項

国税庁HP タックスアンサー No.5261 交際費等と福利厚生費との区分

http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261_qa.htm

執筆者:八巻

 

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