お役立ちコラム

不服申立制度を利用できる7つのケース

ある日、税務署から納付税額を増加させる更正処分の連絡がありました。わが社は、毎年、期限内に申告を行っており、税法に基づいた適正な会計処理を行っているつもりです。なので、税務署からの更正処分の連絡がどうしても納得できません。その場合、どうしたらよいでしょうか。

不当な課税から納税者を守るために、納税者は税務署長等に対し、不服を申し立てることができる制度があります。更正などの課税処分に不服があるときは、この処分を行った税務署長等に対して「再調査の請求」を行うことができます。また、さらに「再調査の請求」の結果についても不服がある場合は、その処分の取消しや変更を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」をすることもできます。「審査請求」は「再調査の請求」を経なくても直接行うことができます。

不服申立ては納税者を守ることが目的なので、下記、(1)~(7)のケースのような納税者が不利な場合に不服申立てをすることができます。そのため、納税者が有利な場合、又は、そもそも処分を受けていないケースの(A)~(B)の場合は不服申立てをすることができません。今回は(1)に該当しますので不服申し立てができると考えられます。

<不服申し立てができるケース>

(1) 納付税額を増加させる更正処分

(2) 申告のない場合に納付税額を決定する決定処分

(3) 更正の請求に対して行われた更正をすべき理由がない旨の通知処分

(4) 加算税の賦課決定処分

(5) 青色申告の承認の取消処分

(6) 差押え等の滞納処分

(7) 納税告知処分

<不服申し立てができないケース>

(A) 納付税額を減少又は還付金額を増加させる処分

その処分によって自己の権利又は法律上の利益が侵害されていないため。

(B) 誤って納付税額を過大に申告した場合

 処分を受けていないものとなりますので、この場合は、申告した納付税額を正しい税額に是正するために、「更正の請求」の手続を行うことになります。

「再調査の請求」を行う上での注意点は、原則として処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に税務署長等に再調査の請求書を行う必要があることです。そのため、税務署等から通知があった場合は、早めに内容の確認をするように注意しましょう。

参考

国税庁HP タックスアンサー 税務署長等の処分に不服があるときの不服申立手続

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/fufuku/7200.htm

 

国税庁HP タックスアンサー 「不服申立て」ができる場合、できない場合

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/fufuku/7210.htm

執筆者:田口

 

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