お役立ちコラム
太陽光発電の余剰電力の売却収入(店舗併用住宅)の所得の扱い
-
個人商店を経営しており、1階に店舗、2階を自宅として利用しています。太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自宅及び店舗で使用していますが、余った電力を電力会社に売却しています。電気使用量メーターは1つしか設置されていないため、売却した電力量および売却金額はわかりますが、発電量のうち店舗や自宅のそれぞれの使用量はわかりません。余剰電力の売却収入に係る所得はどのような扱いになりますか。
-
自宅に太陽光発電設備を設置し、自家利用の余剰電力を売却した時、給与所得のみ所得がある場合は、余剰電力の売却収入は一般的には雑所得となります。
店舗と自宅の両方で使用している場合、売却収入は事業所得の付随した収入とみなされ事業所得又は雑所得のいずれかに該当すると考えられます。
しかしながら、店舗と自宅との兼用であっても、発電される電力が事業所得をもたらす業務で利用している場合、発電設備は減価償却資産に該当するため、その資産からもたらされる収入については、全て事業所得の付随収入とみなされます。
ちなみに、減価償却資産となる発電設備の必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうち売却した電力量以外の割合を、店舗と自宅における使用率や使用面積割合等の合理的な基準による店舗の使用割合により按分し、その割合と発電量のうちの売却した電力量の割合の合計を事業用割合として計算することができます。減価償却費の事業用割合の計算方法=(売却電力量以外の割合×合理的な基準による店舗の使用割合)+売却電力量の割合
<参考文献等>
国税庁HP 質疑応答事例 自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/45.htm
執筆者:有馬
関連コラム
- 令和5年度税制改正 NISA制度の抜本的拡充・恒久化
- はじめに 令和5年度税制改正の目玉の一つとして、NISA制度の抜本的拡充・恒久化が公表されました。NISA制度自体は以前から存在した制度で、一定金額の範囲内で投資によって得られた利益が非課税となる制度になっています。従来のNISA制度には一…
- 確定申告の基本
- はじめに確定申告の受付時期がやってきました。確定申告は全ての人が行わなければならないわけではありませんし、会社員の方等は年末調整を行っているから自分には関係ないと思われるかもしれません。しかし確定申告をすることによって納めすぎた税金が戻って…
- 退職所得控除額の計算方法の注意点-2回目の退職金の支給を受けた場合-
- 今回は、転職に伴い退職金の支給を複数回受けた場合の退職所得控除額について説明します。 p; ■ 基本的な退職所得控除額の計算方法 p; 退職所得の金額計算に必要な退職所得控除額は、退職金の支給を受けた会社での勤続年数に応…
- 歯列矯正は医療費控除の対象となるか
- 今回は所得税の確定申告における医療費控除のお話になります。 医療費控除の対象となる医療費は、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。 では「水準を著しく超える」とはどのようなものなのか。保険…
- 青色申告(個人)
- 青色申告制度の概要 p; 個人事業主の方は1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた所得金額を正しく計算し、申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記録し、取引に伴って発生した書類を保存してお…
当サイトの情報はそのすべてにおいてその正確性を保証するものではありません。当サイトのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、賠償責任を負いません。具体的な会計・税務判断をされる場合には、必ず公認会計士、税理士または税務署その他の専門家にご確認の上、行ってください。