お役立ちコラム

山林を譲渡した場合は山林所得?譲渡所得?

私の父は山を保有しており、30年前に自分で植林した山林が付いていますが、昨年父が亡くなったことにより山林を山ごと相続しました。この山林付きの山を今年第三者に譲渡したので、確定申告が必要かと思いますが、所得区分が分かりません。譲渡したので「譲渡所得」ですか?山林なので「山林所得」ですか?

山林付の山を譲渡した場合、山林(立木)部分と山(土地)部分に分けて考える必要があります。

①山(土地)部分

「譲渡所得」となります。

②山林(立木)部分

山林を取得してから伐採若しくは譲渡するまでの期間が5年以内かどうかで所得区分が変わります。

(1)取得から譲渡までが5年以内の場合

「事業所得」又は「雑所得」となります。(事業性で判断します)

(2)取得から譲渡までが5年超の場合

「山林所得」となります。

御質問のケースですと、下記のように判断します。

①山(土地)部分

「譲渡所得」に該当します。

②山林(立木)部分

御質問のケースですと、取得から譲渡までの期間が5年以内と考えてしまうところですが、所得税法においては、相続によって取得した山林はその相続人が引き続き所有していたものとみなされます。よって、御質問者様の山林は30年前から引き続き保有していたことになり、「山林所得」となります。

なお、「山林所得」に該当すると、「事業所得」や「雑所得」として申告するよりも有利になるケースが多いので、税金を払いすぎないためにもしっかり要件を確認しましょう!

<参考文献等>

所得税法第60条

タックスアンサーNo.1480 山林所得

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1480.htm

執筆者:西山

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