お役立ちコラム

特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算について

「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の特定課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者の仕入れであって課税資産の譲渡等ではないため、納税義務の判定を行う際の基準期間における課税売上高に含まれないとのことですが、課税売上割合の計算においても、資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等の対価の額ではないとして、分母と分子に算入しないで計算してよいのでしょうか。

 特定課税仕入れに係る支払対価の額は、課税売上割合の計算において、分母にも分子にも算入しないで計算します。

 課税売上割合の計算は、原則として、事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等の対価の額により計算します。特定課税仕入れは当該役務の提供を受けた事業者における資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等ではないため、特定課税仕入れに係る支払対価の額を課税標準に含めて消費税の申告を行っていたとしても、課税売上割合の計算においても、その事業者の資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等ではない特定課税仕入れに係る金額は考慮する必要はなく、その金額は、分母にも分子にも算入しないで計算します。

 また、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行った国外事業者の課税売上割合の計算においても、「事業者向け電気通信利用役務の提供」である「特定資産の譲渡等」は、資産の譲渡等及び課税資産の譲渡等から除かれていますので、分母にも分子にも参入しないで計算することとなります。

<参考文献等>

国税庁HP 質疑応答事例 消費税関連

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/26/04.htm 

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