お役立ちコラム

決算直前に購入した償却資産の減価償却開始日について

映像作品を扱う弊社では、自社作品の試写イベントを行う目的で事業所内に試写室を設置しました。3月中に工事業者から試写室の引き渡しを受けて機材の正常動作まで確認しましたが、この施設を使用して最初に試写イベントを開催するのは期末後の5月になる予定です。この試写室の減価償却費を当期損金に算入する事は可能ですか?

購入した償却資産の減価償却開始日は、資産を「事業の用に供した日」になります。「事業の用に供した日」とは即ち、その資産を本来の目的で使用した日のことですので、実際に試写イベントを開催して初めて「事業の用に供した」という事が出来ます。3月の期末時点では映写機や音響設備等の設置はしたものの、まだ試写室を本来の目的のために使用したとはいえません。よって当期損金には算入できません。

なお、ご質問の試写室は自社の試写イベントを行う目的の施設でしたが、仮にこの施設を社外に向けて貸し出す事業も行っていた場合は状況が変わります。実際に3月中の利用がなかったとしても、当期中に利用者の募集を始めていたなら「事業の用に供した」と考えられます。

参考

国税庁HP

http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5400_qa.htm

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