お役立ちコラム

未収配当等に対する所得税額控除について

当社は、3月決算の会社です。保有している100%子会社からの配当を受ける予定で、金額は確定しているのですが、まだ配当金の入金はされていません。当該配当金に係る源泉所得税について、この3月期の税額計算上、法人税額から控除してもよいのでしょうか。

未収配当に対する所得税の控除についてのご質問ですね。

 

法人税基本通達16-2-2に、当該取引について以下のような取扱いが載っています。

法人が各事業年度終了の日までに支払を受けていない、法第68条第1項《所得税額の控除》に規定する利子及び配当等を、当該事業年度の確定した決算において収益として計上し、当該利子及び配当等(同項の利子等については当該事業年度終了の日までにその利払期の到来しているものに、同項の配当等についてはその支払のために通常要する期間内に支払を受けることが見込まれるものに限る。)につき、納付すべき所得税の額を当該事業年度の法人税の額から控除し、又はその控除しきれない額に相当する所得税の還付を請求した場合には、その控除又は請求を認める。

 

つまり、①金額が確定しており、②貴社にて収益にその確定額を計上し、③未収配当が通常要する期間内に入金される場合、未収であったとしても3月期の法人税額から控除が可能です。

 

なお、このような処理が認められる利子および配当等については、法人税法68条第1項、所得税法174条を見て確認しておいてください。

 

<参考文献等>

国税庁HP

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/16/16_02.htm

  

法令等

・法人税法68条第1項

・所得税法174条

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