お役立ちコラム
被用者保険の適用拡大
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。
今回の改正では、中小企業で働く短時間労働者や、これまで適用除外とされていた個人事業所の一部業種にも、段階的に被用者保険の適用を拡大することが盛り込まれました。
年金制度改正の全体像
本コラムでは「社会保険の加入対象の拡大」について確認したいと思います。
社会保険の加入対象の拡大
今回の改正により加入要件がよりシンプルに分かりやすくなります。
短時間労働者(パート労働者など)の厚生年金等の適用要件を改正
【現行】 |
【改正後】 |
① 賃金が月額8.8万円(年収106万円相当)以上 |
撤廃 |
② 週所定労働時間が20時間以上(雇用契約で判断) |
② 週所定労働時間が20時間以上(雇用契約で判断) |
③ 学生は適用対象外 |
③ 学生は適用対象外 |
④ 51人以上の企業が適用対象 |
段階的に撤廃 |
賃金要件
最低賃金が1,016円以上の地域では、週20時間働くと賃金要件(年額換算で約106万円)を満たすことから、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて撤廃 <公布から3年以内の政令で定める日から施行> ※最低賃金の減額特例の対象者は、申出により任意加入を可能に。
【企業規模の要件】 より円滑な施行ができるよう、段階的に撤廃
個人事業所の適用業種を拡大(フルタイムも含めた適用拡大)<2029年10月施行>
支援策※ これらの措置は、適用拡大の対象となる前の事業所が、任意に短時間労働者への適用を行う場合にも活用可能となります。
適用拡大の企業規模要件は段階的に撤廃が行われます。
まずは2027年10月に35人超(常勤の従業員数で判断)が対象となります。
施行時にスムーズに対応ができるよう、事前に社内準備を進めることが大切です。
【参考】
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf
社会保険適用拡大特設サイト 事業主用チラシ
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/chirashi_jigyonushi.pdf
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(執筆者:日高)
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