お役立ちコラム

社会保険適用拡大のコストについて試算してみた

令和6年(2024年)10月から、短時間労働者の社会保険加入義務が、被保険者数101名以上の企業から、51名以上の企業へ拡大される。

短時間労働者の社会保険の加入要件は次のとおりだ。

・週の所定労働時間が20時間以上

・所定内賃金が月額8.8万円以上

2カ月を超える雇用の見込みがあること

・学生ではないこと

背景としては、雇用者の1/3以上を占める短時間労働者の社会保障を強化し、将来の収入不安への対処ということになるのだが、社会保険料の半分は企業持ちであるわけで、その負担は無視できないのもとなる可能性が高い。

そこで大まかに、どの程度の負担が増えるのか、試算をしてみた。

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前提条件は

・東京都で週20時間勤務するパートの方で通勤時間は電車で20分程度

・時給は、1,150円(20244月現在の東京都最低賃金は1,113円)

・40歳以上の介護保険対象者

・健康保険は、協会けんぽを適用

とした。

まず、週20時間勤務であるので、

1,150円(時給)×86時間(週20時間×4.3週)=98,900

通勤費は通勤時間から推察し、定期代ひと月当たり概ね8,500円程として、

1か月分の給与合計:98,900+8,500円=107,400円 となる。

これを社会保険料計算の基準となる標準報酬月額に当てはめると、

110,000円。

令和6年4月現在の東京都の保険料率(事業主負担分)は、

健康保険料:49.9/1000

介護保険料:8/1000

厚生年金保険料:91.5/1000

であるので、

標準報酬月額に上記保険料率を乗じて

健康保険料:110,000円×49.9/10005,489

介護保険料:110,000円×8/1000880

厚生年金保険料:110,000円×91.5/100010,065

合計保険料:16,434円(ひと月分)

となる。

上記社会保険料が、新しく加入される短時間労働者分毎月加算されるので、

51名以上の会社で10名の短時間労働者がいる場合は、年間で

16,434円×10名×12か月=1,972,080

と試算できる。

上記コスト増は懸念されるものではあるが、バックオフィスの効率化、人件費の見直し等を実施する良い機会でもある。

例えばBPOサービスを利用することや、助成金や補助金を活用するなど、柔軟な対応策を検討し、社会保険制度の拡大に伴う負担を最小限に抑えつつ、将来に向けた戦略的な対応を検討することをお勧めしたい。


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(参考資料)

『令和63月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京)』

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r6/ippan/r60213tokyo.pdf


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(執筆者:立山)

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