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新型(現代型)うつ病の職場対応について~対策はおすみですか?


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新型(現代型)うつ病とは?

 

新型(現代型)うつ病とは、従来のうつ病のイメージには当てはまらないタイプのうつ病のことです。

明確な定義や学術上の根拠がなく、まだ新しいカテゴリーのものではありますが、企業では新型(現代型)うつ病に羅患していると思われる従業員とのトラブルも多数発生しており、その対応に苦慮している方も多いようです。

ここでは、従来のうつ病との違いと、会社に発生するリスク、その対応方法の一例をご紹介いたします。

 

 

新型(現代型)うつ病と従来のうつ病の主な違い

 

新型(現代型)うつ病は、何事にも意欲や興味がわかず、自分を責め、常に気分がおちこむ従来型のうつ病とは正反対の特徴を持ちます。主な症状の違いは次のとおりです。

  新型(現代型)うつ病の特徴 従来のうつ病の特徴
発症しやすい性格 自己愛が強く、自己中心的・万能感を持つ人 真面目・几帳面・良心的な人
発症しやすい年齢 20歳代~30歳代前半 全世代
症状が出る場所 会社 場所は問わない
症状が出る時間帯 夕方以降 午前中
気分の変調 浮き沈みが激しく権利ばかり主張 継続的に沈む
休日 趣味・旅行などを活発に楽しむ 何に対しても無気力・無関心
食欲・睡眠 過食・過眠の傾向 食欲不振・睡眠不足の傾向

 

 

リスクとその対応方法について

 
新型(現代型)のうつ病は、他罰的な傾向がある上、従来型のうつ病に比べて思考力や行動力があるため、その対応は非常に難しいものとなります。そのまま放置しておくと、どのようなリスクが生じる可能性があるのか、そして、そのリスクに対してどのように対応すべきか、一例をご紹介いたします。
リスク例 対応 効果
概要 詳細
会社・上司などを非難し、社内の人間関係が悪化する 従業員全員に対して、メンタルヘルス教育を行う メンタルヘルス対策についての入社時研修・定期研修・管理職研修等を行い、その中に新型うつ病の項目を設ける 対象者の特徴・接し方等をあらかじめ認識させることで、トラブルの発生を抑える事ができる
体調不良に伴い、遅刻や休職を繰り返 就業規則及び給与規程上のあいまいな表現を徹底的に見直し、明確にした就業規則及び給与規程に則り、適切な運用・対応を行う 就業規則上の休職条項及び復職(リハビリ出社を含む)条項のあいまいな基準等についての整備を行う 不当解雇及び金銭など、対象者の処遇にかかわるトラブルの発生を抑える事ができる
休職期間満了に伴い、会社が退職させた場合に、不当解雇の訴えを起こす 就業規則上の休職期間条項及び休職期間満了後に伴う従業員の退職条項のあいまいな基準等についての整備を行う
人事考課の結果に伴い、会社が減給させた場合に、不利益変更の訴えを起こす 給与規程上の昇給・降給条項及び昇格・降格条項のあいまいな基準等についての整備を行う
体調不良に伴い、仕事のミスが多発する 就業規則上、保健師の面談基準条項を新設し、また、健康診断の受診命令条項のあいまいな基準等についての整備を行う 社内の他の従業員・顧客等とのトラブル発生を抑えること及び対象者の仕事の効率低下を抑える事ができる

(広報誌「こんぱす「2012年春号」より抜粋)

 

執筆者:緒方

 

 

 

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