お役立ちコラム
年末調整で追徴される原因
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いつも年末調整では還付を受けているのですが、今年は徴収されました。何故今年は徴収になったのでしょうか?
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月々の給与や賞与で引かれている源泉所得税は概算で計算されており、年末調整で1年間の所得に基づいた所得税額が確定、差額が精算されます。年末調整では月々の源泉所得税額計算では考慮されていない生命保険料控除や住宅借入金等特別控除等が反映されるため還付になることが多いですが、追加徴収になるケースとしては以下の例が考えられます。
①扶養親族が減った場合
給与や賞与から天引きされる所得税額は扶養親族の人数によって計算方法が異なり、扶養親族が多い場合には源泉所得税は少なくなります。配偶者の所得が思ったより多かったなどの理由で、年末調整になってから扶養親族として申告していた親族が実は扶養親族でないことが判明すると、月々の源泉所得税で徴収不足が発生していることになりますので、年末調整で不足額を精算することになります。
②賞与の金額が月給と比べて高額である場合
賞与の料率の算出式は月給の5倍程度を支給されるものとして源泉徴収税率が定められています(参照:源泉徴収のあらまし114ページ)。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2018/pdf/04.pdf
そのため、賞与の金額が月給と比較して高額な場合には賞与での源泉所得税で十分な控除ができず、年末調整で不足額を精算することになります。
なお、賞与額-社会保険料が前月課税給与額-社会保険料の10倍を超えると計算方法が変わり、実態に近づくため年末調整で発生する差額は少なくなります(参照:国税庁タックスアンサー賞与に対する源泉徴収)。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2523.htm
③月ごとの支給額の変動が大きい場合
所得税の税率は所得が高いほど税率が上がる仕組みになっています。月々の給与での源泉所得税は同様の支給が12ヵ月続いた場合を想定した概算額が控除されているため、月ごとの支給額の変動が大きい場合には不足が生じ、年末調整で徴収される場合が有り得ます。
執筆者:中谷
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